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Case.5
K.A様は2022年3月にALS(筋萎縮性側索硬化症)の診断を受けられました。現在は視線で操作できる意思伝達装置 イイアイズ(eeyes)を利用して周囲の方とコミュニケーションを取っておいでです。2024年4月気管切開と喉頭分離術を受け、声を失いました。
退院以降はイイアイズで会話しています。
長女の子ども(5歳 男の子)とはいつもイイアイズで会話をしていますが、ある日突然「Kさんの本当の声が聞きたい」(名前で呼ばれています)と言われたことが検討のきっかけになりました。
それまでイイアイズで不便は感じていませんでしたし、家族の誰もそんなことは言わなかったので、子どもならではの発言だったと思います。その言葉をきっかけに、私の声を録ったものがあったはずと探して(音声が収録された)カセットテープを発見しました。
音源を活かす方法を訪問看護師さんが調べ、見つけてくださいました。 元々「コエステーション」をご存じだったそうです。ただそれは発声できる方向けのサービスだったので、ダメ元でカセットテープを音源として活かせないかと問い合わせてくださり、エーアイ社に繋がりました。
長女が2歳の誕生日の際、私とのやり取りをカセットテープに録音していました。1992年のことですから、今から34年前ですね。全部で10分程度のものです。
※実際にはその中からA様の声を抽出し、1分17秒の音声を学習用データとして使用しています。
自宅を整理していたら上記のテープを見つけました。
再生してみると音の劣化もなく、雑音もありませんでした。
音源を聞いた訪問の看護師さんやリハスタッフの皆さんが、なんとかこれを活かす方法はないかと調べてくださいました。
有料とのことでしたが孫の言葉にも背中を押され、AI音声を作成していただくことにしました。
30年前の音源なので、声が若いと思いました。
でもまぎれもなく自分の声でした。
ALSによる構音障害が起こることは知っていました。実は、診断された2022年に色々なことを調べていたので自分の声を収録して保存できることも知っていました。ただ、当時はまだいいかなと思っていたのです。
しかし、自分が思っているよりも早く声が変わり、呂律がまわらなくなりました。
たくさんの定型文を読んで自分の声を保存し、音源にできることも知っていましたが、残念ながら時期を逸してしまったとあきらめていました。
今回この様な機会を得てイイアイズを自分の声で伝えられるようになり、思いがけないことでありがたく思います。
次女は「お母さんの声だ」夫は「こんな声だった気がする」という反応でした。
長女の子どもは聞いてすぐ「声が変わった!」と言うので「これKさんの声」というと「ふーん」でした。子どもらしい反応で、いいですよね。
訪問のスタッフの皆さんは「こういう声だったんですねー」と言われ、機械の音声よりあたたかみがあると好評です。
コエステーションにはいった私の声をイイアイズに入れ、発声させています。
イイアイズは処置やリハビリ中以外はいつも使用しているものです。
家族や友人、訪問の看護師さんやヘルパーさんとイイアイズで会話しています。
・音源が30年前の物なので仕上がりが若い声になりましたが、少し音程を下げた物も聞いて、より今に近い方を取り入れるとか試してみたかったです。
・私のように 構音障害が起こる前の声を録音する機会を逸した場合でもあきらめることなく力を貸していただける素晴らしいお仕事だと思います。
広く情報が知られることを願っています。
