小学校のテストの音声化サービスとは
光文書院が2024年4月より展開する「小学校のテストの音声読み上げサービス」は、テストの問題文を読み上げた音声を、先生の端末や児童の端末で再生できるというものです。児童の端末で再生すれば、児童がそれぞれのぺースでテストを受けることができます。テストの音声読み上げは、学校向け図書教材会社として業界初の試みです。
認定NPO法人EDGEは、このサービスに長年培ってきた教科書の音声化技術を提供されています。音声化には、「AITalk声の職人」を採用いただいております。
今回は、光文書院のご担当者様(以下、光文書院)、認定NPO法人EDGEのご担当者様(以下、EDGE)にお話を伺いました。
―テストの音声読み上げサービスリリースの経緯を教えていただけますか。
(光文書院)
もともと光文書院では、画一的な教材には限界があると考えていました。文字の読み書きに困難を持つお子さんが漢字ドリルをなぞる学習に耐えられず、紙をぐしゃぐしゃにしてしまった写真を送っていただいたのを見て、非常にショックを受けた経験があります。
ですから、子ども達一人一人に最適な教材づくりを目指して、教材会社として初めて総ふりがな付きのテストを作成したり、読み書きの苦手な子どものためのNPO法人を設立して補助教材を作成したりしていました。
そのような背景があった中で、EDGEさんのスタッフの方がSNSに【まずは小学校の業者カラーテストで音声付きのテストを作りたい。#光文書院 #〇〇〇社 #〇〇〇 他にあるかな。】という投稿をされており、それを偶然光文書院の役員が見て、これはやろうと考えたのがきっかけです。
―教科書の音声化の活動を長年されておられますが、EDGEさんが、音声化に取り組まれるようになった背景について、教えていただけますか。
(EDGE)
きっかけは私の長男が23年前にイギリスへ留学した時、ディスレクシア※であるということを見つけてもらったことです。音で聞いたほうが分かりやすいタイプだと言われ、教材を音声化したもので学習させるという、今でいう合理的配慮を受けることで学習内容の理解が深まった経験がディスレクシア支援・啓蒙団体としてのEDGE立ち上げの根本にあります。
その後、国の施策として教科書の音声化が始まったタイミングで、文部科学省委託事業として教科書の音声化(名称:BEAM)を始めました。
※ディスレクシア…全体的な発達に遅れはないが、読み書きに限定した困難を持つ学習障がい。全然できないわけではないが、すらすらと正確に読み書きができない。
―AITalk導入の決め手について教えてください。
(EDGE)
特別な専門知識無しでも操作をしやすいこと、肉声感が強い音声を作成できること、教科書ならではの単語を辞書登録できることが、AITalkを選んだ理由です。
また、改訂時に必ず修正が発生する教科書の音声化においては、部分的な修正や音声差替えが簡単であることも、AITalkを選んだ理由の一つです。
―小学校のテストの音声化サービスの反響はいかがでしょうか。
(EDGE)
ディスレクシアのお子さんを持つ保護者の方から、音声によるテストを受けたら点数がぐっと上がったというSNSの投稿をいただいています。本来の力を発揮できるようになったのではないでしょうか。
(光文書院)
ご利用くださった先生から、『音声テストは画期的であり、聞いたらわかる児童にとって朗報です。教師側からは、そのテストではかりたい力は何なのかを、考え直す機会となります。』というお声をいただきました。
―テストの音声化サービスにおいて、工夫が必要だった点はありますか。
(光文書院)
「括弧()に当てはまるものを選びましょう」というような問題文における括弧の部分で、間(ポーズ)の取り方に迷いました。なぜなら、問題ごとに間が異なると、それがヒントになって、テストの評価問題としての正確性がなくなってしまう恐れがあるからです。
(EDGE)
そこで実際の音声化に当たっては、同じ大きさの括弧がある場合には、同じ間をとるようにしました。AITalkには、指定した秒数の間を挿入できる機能があるので、製作時に助かりました。
―テストの音声化サービスの今後の展開について、お聞かせください。
(光文書院)
現在は国語のテストのみに対応していますが、算数・理科・社会やデジタル教材でも広げていきたいと思っています。また、このサービスの認知を広げるための活動も力を入れていきたいです。一人一台端末を持つようになった今、テスト音声読み上げサービスは活用しやすくなっているはずなので、使い方を含めて広げていきたいですね。