導入の前提
日本舶用エレクトロニクス株式会社様は、船舶内で使用する火災探知装置や船内指令装置、時計、自動電話交換機等を開発・販売される船舶専門の機器メーカーです。
今回は船内マッピングシステム NHE CONNECCT のために、AITalk®6 Serverをスタンドアロン(外部接続を利用せず、機器単独で動作する形式)にて採用いただきました。また、女性話者「かほ」・男性話者「おさむ」の2話者を併せて採用いただき、用途によって使い分けていただいています。
※話者デモはこちらからご確認いただけます
https://www.ai-j.jp/demonstration/#demo
導入製品もしくはサービスについて
今回AITalk6を導入いただいた製品・システムの概要を改めて伺えますか。
弊社では、船舶の安全・安心に貢献する船内マッピングシステム NHE CONNECCTを展開しております。NHE CONNECTは、船内の自社の機器や、共創パートナー様の機器と連携し、さまざまな情報をブラウザにて一元表示して情報やインシデントを可視化することができるシステムです。
大型船舶には一般的に1,000点以上の火災報知器や多数のセンサー機器が設置されているため、こうしたシステムがない場合にインシデントが起った場所をすぐに把握するのは難しいことでした。
NHE CONNECTによって火災警報が発生した場所を一目で確認でき、またマップ上で画像や文書を共有することもできますので、お客様から「便利になった」「安心できるようになった」とご好評をいただいております。
AITalk®6 Server導入の背景
– 音声合成によるアナウンスを検討された理由
船体図をマッピング表示してイベント・インシデント等の発生をアナウンスするために音声合成を検討いただいたと伺っておりますが、人による音声では難しい理由があったのでしょうか?様々な手段がある中、音声合成をご検討いただいた理由を伺えると幸いです。
現在、船内のアナウンスは乗船員がスピーカーを利用して行うのが一般的です。インシデントの際にはまず火災報知器等のアラームが鳴り、それを人が把握してからスピーカーでアナウンスすることになっています。
しかしそれでは時間がかかってしまう。速やかにインシデントの発生個所を把握し、瞬時にアナウンスして対応できるようにするには、検知・把握するシステムと音声が直結していることが必要でした。NHE CONNECTでそれを可能にするためには、やはり人によるアナウンスではなく音声合成の導入が必要だと考えていました。
当初は、事前に生成した音声を再生する方法も検討しましたが、船内の部屋や区画、デッキの名称は船舶事に異なり、それらを含めて事前に音声を準備することは現実的ではないことがわかりました。このため、NHE CONNECTのマップに表記される区画等の名称からリアルタイムに動的な音声を生成することができ、また発生したイベントに応じて話者や発生のスピードも都度変更できるような生成AI音声エンジンを求めていました。
-AITalkを知ったきっかけ
キーワード検索をされた、知人からの紹介を受けたなどきっかけを伺えると幸いです。
きっかけは2024年5月頃に、とあるご縁からAITalkをご紹介いただいたことです。
かつては合成音声というと機械的な印象を持っていましたが、今のものは意外と良いんだなというのが当時の感想でした。
オフラインで稼働できる生成AI音声合成サーバとして、評価版をご用意いただいて試したところ非常に有用であることがわかりました。その後、pluszero様にNHE CONNECTと連携できる生成AI音声連携システムの開発を依頼したところ、pluszero様よりAITalkの利用を提案されたため、導入を決めました。
– AITalk6 Server導入の決め手
評価版のお試し後、採用を決定いただいた理由をお聞かせください。
また、評価版お問い合わせ時のメールに重視する要素として
・インターネットに接続されていないオフライン環境で動作すること。
・生成されるまでの遅延が短いこと。
をご記載いただきましたが、期待に対して製品の機能はいかがでしたか。
洋上では通信衛星を利用したインターネット環境が利用されていますが、通信速度や容量の点で地上ほど安定的なインターネット接続が期待できないため、音声合成エンジンの導入にあたってはオフライン環境で動作することが大前提でした。多くの生成AIエンジンがインターネット接続を必要とするクラウド利用を前提としているなかで、AITalkはオフラインで動作し、GPUなどの特殊なハードウェアを必要とせず、CPUのみで非常に高速で音声を生成できることが採用の決め手でした。
船舶のインターネット利用も普及しつつありますが、依然として常時高速回線に接続されている船舶は少なく、またインシデント発生時に確実に動作するためにはオフラインで動作することが必要でした。また火災が発生した場合は一秒でも早く音声でお知らせすることが必要であるため、音声を生成する速度も重要です。AITalkは他の生成AI音声合成エンジンと比較しても、高速に音声が生成できることも選定理由の一つです。
これらを満たすAITalkの機能・性能には非常に満足しています。
– 実際にお使いいただいてのご感想
現在はシステムに実際にお使いいただいていると思いますが、評価版ご試用時から所感の変化はあったでしょうか。良い点・悪い点、率直にお聞かせください。
NHE CONNECTと連携するAI音声連携システムは、株式会社pluszero様に制作していただき、そのエンジンとしてAITalkを活用させていただきましたが、御社とpluszero様にて密に連携いただき、非常にスムーズに開発が行われたことがよかったです。弊社のような舶用の中小メーカーの場合、ITシステムの開発に不慣れなところがありますが、最初から最後まで安心してお任せできました。
御事業部のサービス紹介、今後の事業展開について
AITalkを利用した御社のサービスの今後展開について、現時点での展望をお聞かせください。
船舶は我々が生活する上で欠かせないインフラとなっておりますが、社会の変化に伴って船舶も大型し、アクシデントが発生した際の規模も大きくなっております。または地球環境のために石油に替わる様々な代替エネルギーの利用が試みられております。それらをモニタリングし、インシデントが発生した場合はいち早く乗船員や関係者にお伝えすることで船舶の安全・安心に貢献することを弊社のミッションとしています。AITalkはこれまでの船内の音声アナウンスから大きく可能性を広げるソリューションとして今後も活用していきたいと思います。