AITalk導入の背景
– AITalk導入以前、他のアンドロイドなどの音声はどのように発話させていましたか?
AITalkを導入する前は、ジェミノイド※のモデルの人物、あるいは俳優や実験者等の声をあらかじめ収録し、動作に合わせて収録音声を再生する、あるいは遠隔操作により操作者の音声を再生することにより、ジェミノイド・アンドロイドを発話させていました。
※ジェミノイドとは、モデルに酷似した外見を持つアンドロイドです.ジェミノイドの体はモデルを3Dスキャナで精密に取得し作られています.また顔に関しても石膏により本人の顔の形をそのまま写し取ることで,まさにコピーと言える見かけを実現しています。
– それまで、どのような課題や問題があったのですか?
あらかじめ収録した音声を使用する場合、時間的にも作業量的にも発話内容を簡単に変更できないという問題点がありました。また、遠隔操作の場合には特定の声(ジェミノイドのモデルの人物の声)発話させたい場合には、当該人物が不在だと発話させることができないという問題もありました。
– AITalkを導入する決め手はなんですか
音声合成システムはいくつか選択肢がありましたが、ジェミノイドの音声合成では本人の声で音声合成ができる必要がありました。AITalkの導入の決め手となったのは、こちらが指定した人物の声で音声合成を可能にするオプションがあったからです.
AITalk導入による効果について
音声合成システムを用いることで、即時に発話内容から音声が生成できるようになり、実験等でジェミノイドの対話コンテンツを作成する上での試行錯誤が容易になり、研究を進めやすくなりました。
また、テキストから音声を生成できるため、Web上の情報をリアルタイムに用いて、ジェミノイドの対話を生成することができるようになったこと、さらに特定の人物の音声を合成により再現できるため、その人物が不在の場合でも、本人に近い声で対話させることができるようになったことから、研究やデモンストレーションの幅が広がりました。
今後の展開について
コドモロイド・オトナロイドの科学館展示では展示内容を変化させながら、実社会におけるアンドロイドの可能性を探ります。
コドモロイド・オトナロイドだけに留まらず、人と自然に対話できるロボットの研究開発を進めるとともにそれらロボットの利点を活かして。実社会で役立つ対話サービス(高齢者の対話支援や教育・療育支援など)の実現を目指します。
ジェミノイド®HI-2、オトナロイド®,コドモロイド®は国際電気通信基礎技術研究所(ATR)石黒浩特別研究所により開発されたものです
コドモロイド®,オトナロイド®とは

「オトナロイド®」とは成人女性の見た目をした遠隔操作型アンドロイド。ロボットの科学コミュニケーターとして未来館に”採用”されました。日本科学未来館ではオトナロイドと対話することと、操作することの2つを体験することができます。