AITalk導入の背景
– どのような課題や問題があったのですか?
ちょうど全国の映像機器の更新があり、更新のタイミングで何か新しい取り組みができないか検討することになりました。更新前のシステムでは、レース実況とともに払戻金・変更情報は音声のない静止画での配信でしたので、静止画の音声は各拠点の建物内にある館内アナウンス用の放送設備から担当者が読み上げており、この放送レベルを統一化できないか検討を始めました。当初は2箇所の映像センターに音声収録用のブースを設置し、そこで収録した人の音声を映像に乗せて配信する検討をしていましたが、映像センターのスペースや、技術的な制約などでブースが設置できないことが判明したため、有人での全国一斉放送を断念し、自動音声での実現を検討することになりました。
AITalk導入による効果について
音声合成の導入により、音声を自動で生成し、映像・テキストと一体化した情報を映像センターから全国へ一斉放送することが実現できました。競馬特有の読み方やイントネーションに耳慣れたお客様からは、たまに違和感を指摘されることもありますが、実はこの声は音声合成によるものだと説明すると、そのとき初めて人が読み上げていないということに気づかれる方もおり、音質も人間の音声と変わりない精度に近づいているのではと考えています。
– AITalk導入の決め手を教えてください。
正直なところ、自動音声というと機械的な音声というイメージがあり、品質に関してあまりいい印象を持っていなかったのですが、聞くだけ聞いてみることにしました。実際に現場で利用している払戻金のアナウンス原稿を、エーアイを含めた音声合成企業3社に提供し、それぞれ作成してもらったサンプル音声を比較しました。3社のうち、エーアイの音声合成の完成度が一番高く、これなら自動音声による全国放送が可能ではないかと思い至りました。役員層にもエーアイさんの音声を聞いてもらい、人が読んでいるものと全く遜色なしとのお墨付きをいただいたことから、導入に至りました。
今後の展開について
現時点では、これ以上の展開は考えていませんが、個人的なアイデアとしては、現在利用中のAITalk話者「かほ」だけでなく、声の種類を変更してみたり、地方ごとの方言やキャラクターの音声で放送してみたりということができると面白いかなと考えています。
導入製品もしくはサービスについて
2018年9月よりJRAでは、ウインズやパークウインズなどの場外馬券売り場において、払戻金や、変更情報と呼ばれる天候情報・馬場の状況などを、関東・関西2箇所の映像センターに設置された放送システムにより、静止画・テキスト・音声を一体化した状態で一斉放送しています。放送音声にはAITalk SDKを採用し、お知らせのテキストデータをリアルタイムに自動で音声化して放送しています。