AITalk導入の背景
– どのような課題や問題があったのですか?
もともと医学技術や医療安全系の授業では、自分たちで制作した動画教材を利用しており、プロのナレーターにナレーション収録を依頼していました。しかし、内容修正の度にナレーション収録費用が継続的に発生すること、同じナレーターの方であっても、追加した音声が元の音声と合わず継ぎはぎに聞こえてしまい違和感があるという悩みがありました。さらに、今回2020年度より必修科目となるデータサイエンス教育向けにもデジタル教材の制作をすることになったため、ナレーション作成が可能な音声合成ソフトを検討することにしました。
AITalk導入による効果について
自分達でナレーションを作成できるようになり、追加収録時に発生するコストを削減できました。修正したナレーションを部分的に追加しても、元の音声との差が分からず自然に聞こえます。
さらに今後、学内外で多くの学生がデータサイエンスの授業を受講するため、授業内容の質を保つという点においてデジタル教材を有効活用していくことを考えています。その上で、担当教員以外の教員による説明映像や、他大学で制作した教材による授業では、受講生が違和感を持つこともあると思うので、教員の個性が出ない音声合成のナレーションがそのような違和感の軽減に活かせるのではないかと考えています。
– AITalk導入の決め手を教えてください。
選定には、まず2社から音声サンプルを提供してもらい、音質の比較をおこないました。検討の結果、音質に問題がなく、大学向けのより低価格なライセンスがあるAITalk声の職人を導入することに決めました。
声の職人は操作性もよく、新しく入ってきた技術スタッフに操作方法を教えると、すぐに使うことができます。時々イントネーションや抑揚、アルファベットによる略語で記載した専門用語などが想定していた読み方をしない時もありますが、その場合はイントネーションの調整や単語登録機能を活用しています。
今後の展開について
来年度から群馬大学では、データサイエンスが一年生の必修科目になり、さらにデータサイエンス教育普及の取り組みとして、当センターで制作した教材を近隣の他大学へ提供することを考えており、学内外で多くの学生がデータサイエンスの授業を受講することになります。
また、既に声の職人で作成したナレーションを利用した教材を、今年度は学内で試行的に100人程の学生に視聴してもらいましたが、まだ音声合成に関する感想等は聞いていないので、改めてアンケートの実施等も考えています。
AITalk導入製品もしくはサービスについて
数理データ科学教育研究センターで制作するデジタル教材のナレーション作成に、「AITalk声の職人パッケージ版」を利用しています。教材は、2020年4月より一年生の必修科目となるデータサイエンス教育用教材や、医学技術・医療安全系の動画教材などです。最初に声の職人を導入した2019年3月時には、学内限定の利用として大学向けの非商用ライセンスを購入しましたが、今後は制作したデータサイエンス教育用の教材を近隣大学へも提供することから、現在は商用ライセンスを利用しています。