AITalk導入の背景
– どのような課題や問題があったのですか?
私たちの仕事の中で、手術以外に大変なことと言えば患者様への説明です。説明する内容のクオリティや、信頼関係の構築が求められるものなので、当然ながら適当にすることはできず、1度の説明には、質問への回答も含めて1時間程度必要になります。その割に患者様には高齢者が多いこともあり、理解が進まないといった課題がありました。さらに、説明の他にも電子カルテや説明に必要な書類の印刷などの事前準備が必要です。未だに手書きの書類を用意することもあります。基本的には医師が自分で準備するため、準備には20分程度時間がかかります。
もともと患者様への説明で同じ内容に関して、映像にしたいというアイデアは持っていました。しかし医療の世界は日進月歩なので、今日正しいことが明日は間違いになることは頻繁にあります。例えば肺がんの手術を担当医が説明する映像を作成することも簡単ではあると思いますが、完成してしまった映像を速やかに直すことは費用の面でも難しいことです。
AITalk導入による効果について
患者様がパソコンでAITalkの音声で作成した20分間の説明スライドを見ている間に、カルテや書類の準備ができるようになりました。準備が完了したタイミングで、説明を見終わった患者様のところに戻り、質問に答えるということができるので、業務の効率化ができています。
作成した説明スライドに関しての分かりやすさや、難しい言葉がなかったかということを数人の患者様にアンケートしましたが、分かりやすいと好評です。肺の手術を2度した方に、1度目は口頭で説明をして、2度目はスライドで説明しましたが、2度目の方が分かりやすかったと言われた経験もありました。
また、AITalkを導入した最大のメリットは編集が簡単である点です。Wordやテキストで作ったシナリオを、ただAITalkに入れるだけで言葉になり、スライドに張り付ければ完成します。
– AITalk導入の決め手を教えてください。
音声合成ソフトの存在は、ある研究会の別大学の先生からの発表で知りました。先生はもともと個人的にAITalkを利用されていたそうですが、病院スタッフの数が減少し、人員配置に困っている中で、インフォームドコンセントに利用するためAITalkを病院内でも導入したという紹介でした。
この活用は、私たちも取り組むペイシェント・フロー・マネジメント(患者情報を入院前から把握し、問題解決を早期に計り、病床管理を合理的に行うマネジメント)へも一致すると考えました。音声付きスライドの説明により、患者様の理解が進み、かつ説明に人が介在しなくなれば、分単位で行動する多忙な病院スタッフの業務負担の軽減や効率化に繋がると思い、その場で導入を決意しました。
一番の評価ポイントは、音声が自然であるという点です。研究会で聞いたAITalkの声は決して冷たい感じではなく、自然で温かみのある音声でした。同じ説明をおこない、同じ言葉を使ったとしても、話し方によって受け止められ方も異なるため、人の言葉は温かみや感情が重要だと考えています。実際に私も患者様への説明は励まし系のタイプです。AITalkは感情の設定、スピード調整、男性女性の声も選択でき、ナチュラルな音声であると感じています。
一つ要望を言うとすれば医療用語への対応です。専門性が高く、難しい医療単語が出てきたときに、言い方や区切りがうまくできないこともあるので、一部の医療単語で句読点を入れて調整することがあります。AITalkはジェネラルなソフトだと思うので、医療用に対応した辞書があると他でも導入しやすくなるのではと思います。
ご要望ありがとうございます。
新語対応の継続により、読み上げ精度の向上を図っておりますが、専門性の高い用語については、補いきれない部分もあります。
利便性向上のため、各種業界に対応した辞書作成にも取り組んでいきたいと思います。
今後の展開について
現在、説明で一番困っていることとしては、入院時おこなうトイレの場所等の病院施設の説明や、決まり事の説明に看護師の時間が取られている点です。今後はそれらの案内へもAITalkを活用し、スライドショーで置き換えていきたいと考えています。
導入製品もしくはサービスについて
人がおこなっていて時間を要するものの、あまり理解が進まない説明に対して、絵や動画を使った分かりやすい説明をおこない、かつ人の介在を減らすこと目的として、AITalk 声の職人を導入しました。現在はトライアルで作成した20分間の手術の説明スライドにAITalk声の職人で作成した音声をつけて患者様に案内しています。