IVRとは?コールセンターに導入するメリット、活用事例をご紹介

2024/04/25 / 社内業務効率化

コールセンターのカスタマーサポート業務では、受電数に応じて的確にオペレーターを配置するのに苦労しているケースが少なくありません。
受電の数が多くなるとオペレーター不足を引き起こし、業務効率の低下を招きます。
この課題を解決するための有効な手段として、IVR(Interactive Voice Response)があります。
本記事では、IVRを導入するメリットや活用事例を解説します。

IVRとは?

IVR(Interactive Voice Response)とは、コールセンターのカスタマーサポート業務で用いられる自動音声応答システムを指します。

顧客の問い合わせに音声ガイダンスを用いて自動対応することで、案内に沿ってメニューを選んだり、適切な担当者へ転送したりと顧客対応を効率化できます。

コールセンターの運営効率が大幅に向上し、顧客満足度の向上にも寄与するため、多くの企業で導入が進んでいます。

IVR導入は、単に問い合わせへの対応効率を上げるだけでなく、顧客体験の質の向上にも繋がることが期待できます。

その他にIVR認証というシステムを利用したセキュリティ強化の役割も果たします。
多様な役割が期待できるIVRですが、今回はコールセンター業務の効率化とIVR導入の関係についてご紹介します。

IVRの具体例

顧客がコールセンターに電話すると、IVRが自動的に電話応対をします。
例えば、「製品に関するお問い合わせは1を、サポートが必要な場合は2を…」といったように自動音声で案内し、顧客はガイダンスに沿って対応する番号を選択します。

この番号に基づいて、IVRシステムは顧客を適切なオペレーターや部署へと自動で振り分けます。
顧客は無駄な待ち時間を省きながら知りたい情報をスピーディーに得ることができ、企業側はオペレーターの負担を軽減できるため、双方にとって効率的です。

IVRとVRUの違い

IVRと似たサービスにVRU(Voice Response Unit)があります。
VRUは「音声応答装置」とも呼ばれ、発信者のデータを管理・保存する役割があります。
発信者の用件に応じて誘導するIVRとは厳密には意味が違いますが、IVRと同じ意味合いで使用されることも多くあります。

IVRの機能

電話の振り分け

IVRシステムの中核となる機能の一つが、電話の振り分けです。
顧客からの入電時、IVRは事前に設定された音声ガイダンスを提供し、顧客が選択するオプションに応じて、その問い合わせを最適な部署や担当者へ自動で振り分けます。
顧客に対して、より迅速かつ的確に必要とするサービス・情報を提供できます。

お問い合わせに対する自動応答

顧客からの一般的な問い合わせやよくある質問に対して、IVRは自動的に応答を行います。
例えば、営業時間や店舗の場所、サービスの概要など、プログラムされた情報を音声ガイダンスによって案内できます。
コールセンターのオペレーターがより複雑な問い合わせに集中することができるため、業務の効率化に貢献する機能です。

折り返し電話の予約

顧客がコールセンターに連絡した際、オペレーターが直ちに対応できない場合に折り返しの電話を予約できる機能です。
顧客は自分の都合の良い時間帯を指定でき、オペレーターはその時間帯に合わせて折り返し電話できるため時間調整の手間を省けます。

営業時間外の自動応答

IVRシステムは24時間365日稼働するため、営業時間外でも顧客からの問い合わせに自動応答で対応できます。
緊急連絡先の案内や基本的な質問への回答など、オペレーターが不在の間でも顧客サポートが可能です。

自動発信による情報案内

新しいキャンペーンやサービスの更新情報など、重要なお知らせをIVRを使って顧客に自動的に発信することもできます。
顧客の電話番号に対してプリセットされたメッセージを送ることで、効率良く情報を配信できます。

IVRを導入するメリット

IVRを企業やコールセンターが導入するメリットについて、企業側と顧客側それぞれの視点からお伝えします。

企業側のメリット

コールセンター業務の効率化

IVRシステムの導入により、コールセンターの業務は大幅に効率化されます。
顧客からの問い合わせに対して自動で応答して適切な部門に振り分けることができるため、
オペレーターの負担が軽減され、より専門的な顧客対応に集中できます。

不要な電話を回避できる

顧客自身がIVRを通して問い合わせ内容に応じた選択をするため、不要な電話を事前にフィルタリングできます。
オペレーターは必要がある問い合わせに絞って対応できるため、業務の生産性が向上します。

機会損失を防げる

営業時間外やオペレーターが対応中でも、IVRによる自動応答で顧客からの問い合わせを受け付けることができます。
これにより、オペレーター不足による顧客対応や販売機会の損失を防ぎ、24時間体制でのサービス提供が実現します。

業務時間外でも自動音声で応対可能

IVRシステムは、夜間や休日など業務時間外でも自動音声で応答できます。
顧客からの基本的な問い合わせやよくある質問に対しては、自動音声で解決策を提案することも可能です。

顧客満足度向上も期待できる

IVRで迅速かつ正確な情報提供が可能になるため、顧客の問い合わせに対する満足度が向上します。
また、オペレーターを待たずに回答が得られるため待ち時間を短縮できる点も顧客満足度の向上に貢献します。

コスト削減が期待できる

IVRシステムを導入して問い合わせを自動化した分、人件費の削減につながります。
また、オペレーターの業務効率化による生産性の向上も、コスト削減に繋がります。

顧客側のメリット

待ち時間の短縮

IVRの導入は、顧客の待ち時間を大幅に短縮します。
問い合わせに関連する選択肢を顧客自ら選ぶと、自動応答が即座に適切な部門や情報を案内します。
この仕組みは顧客満足度の向上に貢献し、再度サービスを利用したいという意欲にもつながるでしょう。
繁忙期やキャンペーン期間中など問い合わせが集中する時期でも、IVRによる自動ガイダンスがあることでスピーディーな顧客対応が可能です。

IVRの音声ガイダンスで使用されるAITalkとは

AITalk®とは、人間らしさ・豊かな音声を追求した音声合成システムです。
様々な場面での音声ニーズに応えるため、話者は総勢100名以上、対応言語は英語・中国語・韓国語など60種類以上と幅広いラインナップを用意しています。
導入目的に合わせて言語を選んだり、話し方の雰囲気を調整したりとカスタマイズ性が高いことが特徴です。

また、文章を自然なアクセントで流暢に読み上げるために、独自に日本語を解析。コールセンターや館内放送などの音声ガイダンスにAITalk®を活用することで、そのシーンに適した心地よい音声で顧客を迎えます。
公式サイトでは実際にAITalk®の音声合成デモを聴けるので、一度試してみてはいかがでしょうか。

参照元:音声合成 AITalk® とは?

活用事例:JCOM株式会社

JCOM株式会社は、IVRの音声に「AITalk®声の職人」を活用しています。

導入前はアナウンサーや社内担当者が音声ガイダンスの声を担当。
収録時の音質や話すスピードに差があるためガイダンスに統一感を持たせることが難しく、お客様から「聞き取りづらい」という声が寄せられることに課題を感じていたそうです。
AITalk®を導入することで声・音質・スピードを統一できたため、聞き取りづらさに関するご指摘が大きく減少。顧客サービスの質向上につながっています。

導入時はインストール版を使用していましたが、テレワークの普及に伴って2020年からクラウド版の「声の職人」を利用開始。
テレワークでもブラウザ上で音声を簡単に生成できるので作業効率の向上にもつながり、より安定した品質のアナウンスを提供できるようになったとのことです。

JCOM株式会社様の活用事例を見る

活用事例2:株式会社WOWOWコミュニケーションズ

株式会社WOWOWコミュニケーションズでは、顧客満足度の向上を目的にAITalk®「声の職人」クラウド版を活用しています。

導入前の音声ガイダンスは、複数の担当者が関わることで継ぎはぎの音声となっていたり、同一担当者でも日によって声のトーンが異なるといった課題がありました。お客様からは、聞き取りづらいというご意見をいただくこともあったそうです。

AITalk®導入後は、高品質で統一感のあるIVRの音声ガイダンスを実現。聞いていて違和感のない自然な案内になったため、聞き取りづらさに関するご指摘は解消されたとのことです。

導入の決め手は、音声ファイルの作成が手軽にできる点と、音声の自然さだったそうです。
また、カスタイズ性が高い点も活用ポイントのひとつ。
よくある「1を…」といった案内の「番号」と「を」の間に一呼吸分の間を入れたり、感情のニュアンスを微調整することで、より自然で聞き取りやすいガイダンスを作成できるようになったとのことです。

株式会社WOWOWコミュニケーションズ様の活用事例を見る

まとめ

IVRの導入は、コールセンター運営において多くのメリットをもたらします。
メリットを以下にまとめます。


■企業側のメリット
・コールセンター業務の効率化に貢献。
・不要な電話をフィルタリングし、重要な問い合わせに集中できる。
・顧客対応の機会損失を減らし、24時間体制で対応が可能。
・自動音声による応対で、業務時間外でもサービスを提供できる。
・顧客満足度の向上に貢献する。
・運用コストの削減が見込める。


■顧客側のメリット
・待ち時間が大幅に短縮される。


IVRは、これらのメリットを通じて、コールセンターの品質と効率を同時に向上させる強力なツールです。
IVRを利用して、顧客サービスの質を一層高める効果が期待できます。

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