導入の前提
2026年3月に創刊された『旅×Scope』シリーズ(株式会社JTBパブリッシング,以下JTBパブリッシング様)は、誌面と読み上げサイトを連動させることで、”読むだけではなく耳からも旅先の情報をインプットできる”新しい形のガイドブックです。
この度、『旅×Scope東京』『旅×Scope伊勢 志摩 熊野古道』において、AITalk6の女性話者による音声を採用いただきました。

■ 『旅×Scope東京』https://amzn.asia/d/00HL2CDV
■『旅×Scope伊勢 志摩 熊野古道』https://amzn.asia/d/02eb2r0A
JTBパブリッシング様は、「るるぶ」シリーズをはじめとする多数の人気旅行ガイドを手掛ける旅行ガイドブックの老舗出版社です。その中でも、AI音声による読み上げを採用したのは『旅×Scope』シリーズが初めてとなります。
編集長の安藤様に、音声コンテンツ導入の背景や、新たな取り組みとして採用された理由について伺いました。実際に音声ファイル制作を依頼された際のご感想についてもお話しいただいています。
また、エーアイでは短納期で正確な音声ファイル制作を実現するために、一般社団法人データワークサポートへの業務委託を行っています。
制作時の正確性へのこだわりや運用体制については、『旅×Scope』編集部スタッフの皆様からも高い評価をいただいており、エーアイ営業担当の西村より制作体制や取り組みについてご紹介しました。
■導入製品もしくはサービスについて
改めて、この度エーアイ製品をご採用いただいた製品について教えてください。
安藤様)
2026年3月24日に『旅×Scope』(タビスコープ)という、JTBパブリッシングの新しい旅行ガイドシリーズを6点、同時創刊いたしました。コンセプトは「見る」から「観る」へ。何も知らずに見に行くよりも、行き先についての理解をちょっと深めてから観たほうが、現地での感動はまるで違うものになります。『旅×Scope』は、徹底取材をもとにした詳しい観光ガイドと、さらにそれを深掘る各テーマの専門家の解説、そして、読むだけではなく耳からもその内容を重ねてインプットできるという、新しいカタチの旅行ガイドブックです。

私自身も先日『旅×Scope東京』の音声を聴きながら神田明神にお参りして来ました。境内を見回すといくつかの見どころがありますが、音声を聞きながら見ると、どこを見ればよいのかポイントがわかり、理解が深まる見学ができました。また、参拝客でガヤガヤする場所でも説明が聞き取りやすいと感じました。
■導入の背景
ガイドブックに読み上げを採用するのは、JTBパブリッシング様でも初めての試みと伺いました。採用の経緯を伺えますか。
安藤様)
以前から、ガイドブックは詳しく解説すると文字が多く・小さくなり、老眼で悩む中高年には読みづらいものとなるし、逆に読みやすく文字を大きくするとページが増えて本が重くなり、旅行中に扱いづらくなる…といった課題を感じていました。
なんとかこれらを両立できないかなと考えたとき、最近はポッドキャストやオーディオブックが普及して、数年前に比べると手軽に耳から情報を得ることに多くの人が馴染んできた実感がありました。ガイドブックの文章も読むだけでなく耳からも聞ければ、小さな文字を読まなくても済むし、本を出す手間も省ける。何より現地で音声ガイドとして再生して、知的好奇心を満足させることができると思ったんです。

『旅×Scope』で採用されたのは、どうしてでしょうか。
安藤様)
本書は知的好奇心の旺盛な50代をターゲットとして、旅の本質ともいえる「みどころ」を詳しく解説しようと、企画しました。おのずと文章量も多く、文字がびっしりです。
でも音声があれば、出先で本を取り出す煩わしさから解放され、また、読みづらい文字を一生懸命読む必要もありません。
たくさんの施設をご紹介していますが、一冊のなかで、読者の方がどこに行って何を見るか、こちらではわかりませんので、最終的には掲載している全部の見学施設を※音声化しようということになりました。
※索引等を除く
人によるナレーション収録ではなく、音声合成を採用された理由を伺えますか。
安藤様)
最近は、AI音声に違和感を覚えることがなくなってきた気がします。カーナビや駅での放送案内、さまざまな講座や動画解説など、皆さんAIの音声を聞く機会が結構あるのではないでしょうか。もしかしたらAIだと気づかないまま聞いているケースもあるかもしれません。AI音声はどんどん私たちの生活に身近になってきていると感じます。今回のガイドの読み上げに取り入れても、きっと違和感なく聞いて頂けるものと思い、導入しました。
ちなみにエーアイにお声がけいただいたのは、どういった経緯からでしょうか。
安藤様)
書籍の音声化の実績があるAI音声の企業を探して、スタッフが見つけたのが株式会社エーアイさんでした。
多量のコンテンツを音声化にするにあたり、安定感や聴きやすさは大事だと思っていました。肉声も一時検討したのですがコストの面で現実的ではなく……。オーディオブックを手掛ける会社なら、長く聞いて違和感のない音声なのでは、と思ったんです。
音声の種類が多く、またとてもナチュラルな感じで安定感があるのも魅力的でしたね。複数いただいたサンプルの中で、編集部内でこれじゃない?と意見が一致した音声を選びましたが、観光地でテスト再生してみたときも快適でした。

音声の制作は初めてだったと思いますが、どんなスケジュール感だったんでしょうか。
安藤様)
読み上げ音声の制作期間はおのずと校了から本の発売日までの短期間となりますが、AI音声化のスピード感たるや・・・!修正作業もスムーズでしたし、やってみてこの読み上げが人間によるものだったらとても発売日に読者の方にお届けするのは無理だったろうと思いました。
エーアイ営業担当西村)
人間だと、喉が強い方でも数時間の読み上げが限界です。これだけの情報量を音声にするには数日かかりますし、修正が発生したときはさらに録りなおしになりますから、スケジュールとコストに余裕がないと難しいですよね。
制作に関して、印象に残っていることはありますか?
安藤様)
最初に原稿をお渡ししたら、こちらがびっくりするくらいたくさんの質問を頂きまして。「これはこういうふうに読むということでOKでしょうか?」など。記述は正しいものの、改めて聞かれると、編集部も読めているつもりでも実は読み方につまるようなところも正直あることに、気づかされた次第です。
逆に伺ってしまうんですけど、ルビのない単語で読み方に迷うものは、どうやってお調べになって質問されてきていたのですか?
西村)
固有名詞のアクセントは、公式の動画があればそれを参考にしています。観光地では最近結構たくさん上げられていますよね。アクセントで躓くと、人が聞いたときにどうしてもひっかかりが残ってしまうので、できる限り、あらゆる手段で(笑)、調べて正しい読み方を追求しています。
AIチャットの読み上げのようなその瞬間に流れていく音声を生成するときにはある程度割り切るしかありませんが、固有名詞の正しい読みを完全自動生成することは今のところ無理なんです。エーアイでは、書籍ガイドのように長期間販売されるコンテンツに関しては人が音声を確認・修正することにしています。
エーアイでは最新のAI音声技術と人手チェックとを組み合わせて音声コンテンツ制作するのが特徴ですが、その点どうお感じになりましたか?
安藤様)
ここまでやってくれるんだ、という安心感がありました。編集部ではAI音声を使うことに関して、人の目が入らないの?大丈夫?という不安もありました。でも実際にはたくさんの人が関わって読みの正確性を追及・確認して頂いたり、この膨大なデータ量をきちんと管理して、最後までサポートしていただけたことは非常に大きかったです。人の手が入っていることのありがたさを感じました。
制作時には膨大なコンテンツを番号で管理しており、現場も混乱しがちになりますが、エーアイさんではナンバリングと音声がずれてしまうなど、トラブルは一度もありませんでした。
西村)
ありがとうございます。実はエーアイが普段手掛ける書籍の音声化コンテンツでは、1つのファイルで納品することが多いんです。でも1冊の書籍の中に大量の目次を付けて複数のファイルで納品することもあり、今回は両方のノウハウを融合させる必要がありました。もし次回『旅×Scope』のご依頼をいただけたらもっと自信をもってできると思います(笑)
■貴事業部のサービス紹介、今後の事業展開について
エーアイ製品を利用した貴社のサービスの今後の展開について、現時点での展望をお聞かせください。
旅行ガイドブックにつきものの課題を、『旅×Scope』では耳でも聴けるようにしたことで解決しました。
現地で観光ガイドのようにして聴いたり、行く前に家事をしながら、通勤途中で、観光地に向かう車の中でなど、都合のよい場面で予習したりもできます。旅行帰宅後も聞き返して余韻にひたることも。「読む」×「聴く」ことで、旅行ガイドブックというものを、あらゆるシーンでいつでも何度でも最大限活用していただけるようにしました。
リリース直後のため、読者の反響についてはただいま集約・分析中ですが、今後はさらなる音声新商品の企画にもつなげていければと思います。

