音声対話AIとは?仕組みや課題、実装するときの注意点をわかりやすく解説

2025/10/07 / AI

AIと会話するイメージ

AI技術の発展により、私たちの生活やビジネスの現場で「音声対話AI」が急速に広がっています。スマートスピーカーやスマートフォンの音声アシスタントをはじめ、企業のコールセンターや受付システムなど、日常のさまざまなシーンで導入が進んでいます。

音声対話AIは、人の声を理解し、自然な会話を実現する技術であり、従来の音声認識を超えて、文脈や意図を読み取った応答が可能です。本記事では、音声対話AIの基本的な仕組みや活用例、導入時に直面しやすい課題や注意点について、初めての方にもわかりやすく解説します。

音声対話AIとは

まずは、音声対話AIの概要や仕組み、利用例について見ていきましょう。

音声対話AIの定義

音声対話AIとは、人の話す言葉を音声で認識し、その内容を理解したうえで、適切な返答を自動生成し、再び音声で応答する技術です。自然言語処理や機械学習などのAI技術を活用することで、単なる音声認識を超え、文脈や意図をくみ取った滑らかな対話が可能になります。

例えば、ユーザーが質問や指示を話しかけると、AIがその内容を解析して最適な回答を音声で返す、まるで人と会話しているかのような体験を提供する仕組みです。

AIによる音声認識については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

音声対話AIの活用例

音声対話AIの活用例

音声対話AIは、さまざまな現場で活用されています。

<音声対話AIの活用例>

  • コンタクトセンター等での問い合わせ自動化
  • 音声アシスタント(Siri等)
  • 各種FAQの音声による提供
  • コミュニケーションロボット

音声対話AIは、業種や現場を問わず、業務の効率化やサービスの質向上、多言語対応など、多くのメリットをもたらします。

AIによる電話自動応答については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてお読みください。

音声対話型AIを利用できるサービス一覧

現在、音声対話型AIを利用できるWebサイトやサービスは、下表のとおりです。

サービス名音声対話型AIの利用例
Googleアシスタントスマートフォンやスマートスピーカーで利用できる音声AIです。幅広いデバイスに対応し、Web検索や家電の操作、スケジュール管理などが可能です。(スマートホーム操作はGeminiアプリでも提供が拡大中)
Siri(Apple)iPhoneやiPad、MacなどApple製品に標準搭載されている音声アシスタントです。音声での操作や情報検索、メッセージ送信などが行えます。
Amazon AlexaAmazon Echoシリーズを中心に、スマートホーム機能や音楽再生、情報検索など多彩な用途に対応しています。
ChatGPTOpenAIが提供する対話AIサービスで、Webブラウザから会話形式で質問や相談ができます。音声入力機能も一部で利用可能です。
Microsoft CopilotMicrosoftのBing検索に統合されたAIチャットサービス(旧Bingチャット)で、音声入力や会話形式で情報検索が可能です。
AIチャットくんLINEアプリを通じて利用できる日本語対応のチャット型AIサービスです。
SmartRobotIntumit社が提供する専用アプリやWebサイトを通じて、対話やサポートを行うAIサービスです。

音声対話AIの技術・仕組み

音声対話AIは「聞く」「考える」「話す」の3つの要素が組み合わさったシステムです。

人の声を受け取ったAIは、話された音声をテキストに変換します。このとき、AI音声認識システムが音波を分析し、膨大な学習データをもとに話している内容をテキスト化します。

次に、テキストをAIが理解し、質問や指示に対して最適な回答を生成します。ここでは自然言語処理の技術が活用され、文脈を押さえて、適切な回答を導き出します。

最後に、生成された回答をAI音声合成システムが受け取り、人間の声のように読み上げて会話が成立します。

AI音声合成によるテキスト読み上げについては、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてお読みください。

音声対話AIにおける課題

音声対話AIは便利ですが、万能というわけではありません。導入する際は、使う側があらかじめリスクや注意点を理解しておく必要があります。

課題①音声認識の精度が低いと会話が成立しない

音声対話AIは、人の声を正しく認識することが前提です。認識精度が低いと、会話自体が成り立ちません。特に専門用語や固有名詞、訛り、雑音環境下などは誤認識が発生しやすく、意図しない返答につながります。
対策として、頻出単語や専門用語の辞書登録、文章やフレーズ単位での学習データ追加が有効です。最新のAI技術では、会話文脈をふまえて認識精度を向上させる手法も登場しています。

課題②AIの読み上げに違和感を感じる場合がある

音声対話AIの読み上げにおいては、イントネーションやアクセントの不自然さ、専門用語の誤った発音が原因で、聞き取りにくさや違和感が生じることがあります。
対策として、辞書登録機能を使って単語ごとの発音を調整する方法が有効です。製品によっては、文章全体を学習させて自然な読み上げを実現する機能も備わっています。また、導入前は予めサンプル音声やデモを確認し、実際の利用シーンに合った発声品質を確保しましょう。

課題③AIの回答が正しいとは限らない

音声対話AIは便利ですが、現時点ではAIの回答が必ずしも正確とは限りません。AIは過去のデータやパターンに基づいて返答を生成するため、最新情報や専門的な内容、複雑な文脈を誤るケースがあります。重要な業務や判断には、人によるファクトチェックが不可欠です。

今後の解決策として注目されているのが「AIエージェント」の活用です。AIエージェントは目標に沿って自律的に計画・実行し、外部システムやデータ連携による多角的な判断が可能になるため、より正確で信頼性の高い回答を実現できると期待されています。

音声対話AIを実装する際の注意点

音声対話AIは、AmazonやGoogleなどが提供するクラウドサービスを利用すれば安価に導入できます。しかし、実際の運用では精度や発話品質、セキュリティなど、見落とせない課題も存在します。

ここからは、導入時に押さえておきたい注意点を整理していきます。

注意点①プライバシーの取り扱い

音声対話AIをクラウドサービスで利用する場合、外部ネットワークを通じてデータをやり取りすることになります。そのため、プライバシーや機密情報の漏えいリスクに十分な注意が必要です。

特に病院や金融機関など、個人情報やセンシティブなデータを扱う現場では、外部サーバーへの音声データ送信が大きな課題となります。こうした場合は、ネットワーク接続なしでローカル環境で動作する音声認識・合成システムの導入が求められます。

注意点②AI音声認識・AI音声合成それぞれの調達が必要な場合も

音声対話AIの構築には、音声認識と音声合成の両方が必要です。しかし、クラウドサービスによっては、これらを別々に提供しているケースがあります。その場合、個別に選定・調達する必要があるうえ、双方で専門用語や固有名詞の辞書登録・管理をしなければならず、運用に手間がかかる可能性があります。

一体型のサービスを利用すれば管理の手間を減らせますが、選択肢が限られることもあるため、自社の要件とサービス仕様を比較して検討することが重要です。

注意点③音声合成の学習元にも注意

AI音声合成のクラウドサービスには無料のものもありますが、提供される声の学習元が不明確なケースもあります。中には、学習データの利用について契約がないまま提供される例も見られます。
実際に、著名な声優の声を無断で学習に使ったことが問題となり、その音声を利用した動画やサービスが停止された事例もありました。法人で利用する際は、料金の安さだけで判断せず、学習元と契約が結ばれていることを明示できるサービスを選ぶことが大切です。

音声対話AIの導入はエーアイにご相談ください

SLFrameworkの概要

音声対話AIの導入にあたっては、セキュリティや運用効率、発話品質などさまざまな課題があります。エーアイが提供する「SLフレームワーク」は、対話に特化した外部接続不要のフレームワークです。インターネット接続なしで音声認識・音声合成が可能なため、プライバシー要件の高い現場でも安心してご利用いただけます。

音声認識と音声合成で共通利用できる辞書機能により、運用負担を最小限に抑えられます。豊富な話者ラインナップに加え、「AITalk® Custom Voice®」を活用すれば、オリジナルAI音声による発話も実現可能です。

現在は音声認識と合成に特化した製品ですが、将来的には自然言語処理も含め、すべての処理をローカル環境で完結できる製品として開発を進めています。ローカル環境での音声対話をご検討の際は、ぜひお気軽にエーアイまでお問い合わせください。

「SLフレームワーク」の詳細を見る

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「AITalk® Custom Voice®」は、芸能人や声優、自分の声を収録し、日本語音声合成用のオリジナル辞書を作成するサービスです。
文字を入力するだけで、本人の声のようなリアルな音声で喋らせることができるので、WEBキャンペーンや、スマートフォンのアプリケーション、ゲーム、バーチャルキャラクター、テレビ番組等で、インパクトのある音声コンテンツを実現できます。

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