AIアナウンサーとは?導入事例やメリット・デメリットを詳しく解説

2025/04/01 / AI

AIアナウンサーの台頭により、放送業界は大きく変わりつつあります。これまで機械的なイメージのあったAI音声合成は、技術の進歩により人間のように自然な発声でニュースを読み上げることが可能になりました。一方で、課題も残されています。

この記事では、AIアナウンサーの定義や導入事例、メリット・デメリットを詳しく解説します。AIアナウンサーを効果的に活用するためのポイントや、おすすめのAI音声合成ソフトについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

AIアナウンサーとは

AIアナウンサーとは、AIを活用し、人間のように音声で情報を伝えるシステムです。まるで本物のアナウンサーのようにニュース原稿やナレーションを読み上げ、さまざまな情報を発信することができます。ここでは、AIアナウンサーについて、詳しく見ていきましょう。

AIアナウンサーの種類

AIアナウンサーには、大きく分けて「バーチャルキャラクター型AIアナウンサー」「音声合成型AIアナウンサー」の2つのタイプがあります。

バーチャルキャラクター型AIアナウンサー

CGで作られたキャラクターの姿を持つAIアナウンサーです。音声と連動して、表情や口の動き、仕草などを表現します。まるで実在の人物のような見た目と動きで、親しみやすいのが特徴です。

例:テレビ局のバーチャルアナウンサー、企業の広報キャラクターなど

音声合成型AIアナウンサー

音声のみで情報を伝えるAIアナウンサーです。視覚的な表現はないものの、人間に近い自然な発声で、さまざまな情報を効率的に伝えることができます。

例: 動画のナレーション、駅や空港のアナウンスなど

AIアナウンサーを作る技術・仕組み

AIアナウンサーは、大きく分けて「音声を合成する技術」「画像を生成する技術」の2つの技術からできています。

AI音声合成による音声生成

AI音声合成とは、AIがテキストから音声を生成する技術です。最新の技術では、人間の発声における微妙なイントネーションやアクセント、間の取り方などを再現できるようになりました。まるで本当に人間が話しているかのような、自然で滑らかな音声が生成可能です。

AI学習やモーションキャプチャによる画像生成

AIアナウンサーの「見た目」を作り出す技術です。3DCGでキャラクターを作成したり、実在の人物の映像を元に表情や動きを生成したりして、アナウンサーの映像を作り出します。

AIアナウンサーの歴史と事例

AIアナウンサーの進化は、音声合成技術の発展と密接に関連しています。人工音声が誕生したのは、1950年代。AIアナウンサーの黎明期に当たります。1960~1990年代には、TTS(Text To Speech:テキストトゥスピーチ)が登場し、MacやAMigaなどのコンピューターに搭載されました。本格的なAIアナウンサーが誕生したのは、2000年代に入ってからです。2010年代に入ってからは、ディープラーニングにより、AI音声合成が飛躍的に進歩しました。

<日本のAIアナウンサーの起用事例>

NHK「ニュースのヨミ子」(2018年):公共放送初のAIアナウンサー
玉川髙島屋S・C「荒木ゆい」(2019年):SONYが提供するAIアナウンサーを館内放送に使用
テレビ朝日「花里ゆいな」(2020年) :表情豊かなバーチャルアナウンサーを報道局・情報向けの番組で活用
テレビ北海道「iina(いいな)」(2023年):毎週土曜日に放送される情報番組「スイッチン!」で天気予報を読み上げ

AIアナウンサーのメリット

企業は、AIアナウンサーの導入によりさまざまなメリットを受けられます。代表的なメリットを、3つご紹介します。

制作コストを削減できる

AIアナウンサーを導入することで、従来必要だった人件費を削減できます。人件費とは、アナウンサーの給与だけではありません。収録に携わる人の給与や、採用活動にかかる費用、研修費用なども含まれます。

また、災害や緊急時に備えていつでもニュースを配信できる体制を整えたいと考えた場合、複数名のアナウンサーを雇用する必要があり、大きな費用負担になります。その点、AIアナウンサーであれば、これらのコストを削減できます。

24時間365日稼働できる

AIアナウンサーは人間とは異なり、休憩や休暇は不要です。そのため、早朝や深夜、祝日でも安定した運用が叶います。災害発生時など、迅速な情報伝達が求められる状況において、AIアナウンサーなら24時間体制で情報発信を続けられるでしょう。

また、定常業務の効率化にも寄与します。毎日決まった時間に放送されるニュースや天気予報、交通情報などの定型的な業務をAIアナウンサーに任せれば、人材を他の業務に割り当てることができます。

多言語対応により多くの人に情報を届けられる

AIアナウンサーの多言語対応能力は、グローバル社会において大きなメリットとなります。従来のアナウンサーでは、多言語対応のために複数の人材を確保する必要がありました。しかし、AIアナウンサーであれば、一つのシステムで多様な言語に対応することが可能です。

例えば、琉球朝日放送とNECが導入したAIアナウンサーは、80カ国語以上の言語に対応しています。このAIアナウンサーの導入は、沖縄県が推進するDX促進支援事業の一環として行われています。沖縄県は多くの外国人観光客が訪れる地域であり、多言語による情報提供は重要な課題です。AIアナウンサーの活用により、多言語放送の制作が容易になり、外国人観光客や定住外国人への情報伝達をよりスムーズに行うことが期待されます。

出典:琉球朝日放送とNEC、AIアナウンサーを活用した番組制作の取り組みを開始|NEC

AIアナウンサーのデメリット・課題

AIアナウンサーはさまざまなメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットや課題も抱えています。課題を理解しておくことが、AIアナウンサーの適切な運用につながります。

感情表現に乏しく機械的になってしまう

AIアナウンサーは、原稿の内容を正確に読み上げることは得意ですが、特にフリーソフトや無料のサービスでは、喜怒哀楽といった感情を込めて表現することは苦手な傾向にあります。そのため、ニュース速報のような事実を伝える報道には適しているものの、感動を伝えるような番組やナレーションには不向きな側面があります。

臨機応変な対応が難しい

人間のアナウンサーであれば、初めて見る単語でも文脈からある程度正しい読み方を推測できます。しかし、AIアナウンサーの場合、学習データにない固有名詞や専門用語を正しく発音できない場合があります。また、指示がないと臨機応変に対応できないのも課題の一つです。

商用利用できない場合がある

AIアナウンサーの音声は、常に自由に商用利用できるわけではありません。商用利用したいときは、各サービス・ツールの利用規約をよく確認する必要があります。別途商用ライセンスを取得することで、広告や放送などの商用利用が認められる場合もあります。トラブルにならないよう、事前に商用利用の可否や条件を正しく理解しておきましょう。

AIアナウンサーを効果的に活用するポイント

AIアナウンサーを効果的に活用するために、以下のポイントに留意しましょう。

情報を発信する前に人ので確認する

AIアナウンサーは高い精度で原稿を読み上げることができます。しかし、イントネーションの微妙な違いや固有名詞の読み方の誤りなどを見つけるためには、人の耳で確認する作業が不可欠です。

また、AIアナウンサーによる多言語対応は大きなメリットですが、日本語のニュース読み上げと同様に、放送前にその言語が堪能な人に原稿をチェックしてもらう必要があります。公共の電波に乗せる以上、正確な情報伝達をしなければなりません。これは、言語を問わず共通の課題です。

AIアナウンサーは多様な言語で迅速に情報発信できる便利なツールですが、完全に自動化された状態で対応できるわけではないことを理解しておきましょう。

AI音声合成の得手不得手を理解する

AIアナウンサーを効果的に活用するためには、AIの得意分野と不得意分野を理解し、それぞれの特徴を活かした使い分けをすることが重要です。AIアナウンサーは、24時間365日稼働できること、大量の情報を迅速かつ正確に処理できることを強みとしています。

これらの特徴を活かし、例えば、災害時の情報提供や定型的なアナウンス業務などにAIアナウンサーを導入することで、業務効率化やコスト削減を効率よく実現できます。

高音質なAI音声合成ソフトを選

AIアナウンサーを効果的に活用するには、高品質な音声合成ソフトを選ぶとよいでしょう。音声の質は、視聴者や利用者の体験に直接影響を与える要素です。自然で聞き取りやすい音声は情報伝達の精度を高め、AIアナウンサーのメリットを最大限に引き出すカギとなります。

音声デモを試せる場合は、実際の音声を確認してみることをおすすめします。

自然なアナウンスにはAI音声合成ソフトAItalk®がおすすめ

AIアナウンサーは、コスト削減や24時間稼働といったメリットがある一方、感情表現の乏しさや固有名詞の読み間違いなど、表現力に課題を抱えています。しかし、「AITalk®」なら、これらの弱点を克服し、より人間らしい自然な発声を実現できます。

AITalk®は、「波形接続合成方式」と「DNN音声合成方式」を組み合わせ、人間らしい音声を生成します。テキストを入力するだけで、本物のアナウンサーのように流暢に読み上げます

音声の速度や高さを調整できるのはもちろん、感情表現にも対応します。多彩な話者がいるため、番組の雰囲気に合う声質を選択できるのもメリットです。また、辞書登録を活用すれば、固有名詞や専門用語も正確に読み上げることができます。

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AIアナウンサーの活用事例

フジテレビのマルチデバイス対応ニュース専門局「ホウドウキョク」は、AI音声合成ソフト「AITalk®」を導入することで、24時間体制のニュース配信における課題を解決し、生産性向上を実現しました。

導入前は、24時間あらゆるニュース速報に対応するため、限られた人員でいかに迅速にニュース制作を行うかが課題だったといいます。特に深夜帯などスタッフが少ない時間帯では、制作スタッフが出演者を兼任するなど、ニュースナレーション収録まで手が回らない状況が想定されていました。

そこでAITalk®を導入した結果、人員が手薄になりがちな深夜帯でも質の高いニュース音声を効率的に制作できるようになりました。現場のスタッフが手軽にナレーションを作成できるため、迅速な情報発信体制を維持できるようになったとのことです。また、アナウンサーの拘束時間や人件費を削減しつつ、高品質なニュース制作を維持することも可能になりました。

参照:お客様事例|株式会社 フジテレビジョン「ホウドウキョク」

AIアナウンサーを活用して生産性を高めよう

AIアナウンサーは、企業の生産性向上に大きく貢献する可能性を秘めています。その活用方法は多岐に渡り、従来の業務効率化だけでなく、新たなビジネスチャンスの創出も期待できます

例えば、深夜や早朝の放送など、これまで対応が難しかった領域への進出が可能になります。また、これまで社員が担当していた社内アナウンスをAIアナウンサーに置き換えることで、社員は本来の業務に集中できます。さらに多言語対応機能を活用すれば、グローバル展開も可能です。

AIアナウンサーは、企業の生産性を向上させ、ひいては企業の収益増に貢献できるツールといえます。他社との差別化を狙いたい企業様は、ぜひAITalk®をご検討ください。

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