AI音声が声優業界にあたえる影響とは?今後の課題や上手く付き合う方法を解説

2026/01/31 / AI

AI音声合成は、ナレーションや動画、ゲーム、アニメ制作など、幅広い分野で利用が進んでいます。音声の自然さや表現力が向上し、ツールの選択肢も増えたことで、個人から企業まで導入しやすくなりました。一方で、声優の声の利用や権利については、適切な対応が求められています。

この記事では、AI音声合成の現状や技術の進化を整理したうえで、声優との関係における課題と、実務で活用する際に押さえるべきポイントを解説します。

AI音声合成の現状

AI音声合成とは、入力したテキストをもとに音声を生成し、読み上げる技術です。まずは、現状を整理していきましょう。

ツールの多様化が進んでいる

近年、AI音声合成ツールは用途や目的に応じて幅広く展開されています。シンプルな読み上げに特化したものから、感情や話し方のニュアンスを細かく調整できるものまで、機能の方向性はさまざまです。操作性が向上し、専門知識がなくても扱えるツールが増えたこともあり、個人利用から企業の業務利用まで、活用の範囲が広がっています。

AI音声合成ソフトについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

リアルタイム合成で自由な会話が可能に

エーアイの「AITalk® CustomVoice®」をはじめ、録音データから特定の人物の声をAIで再現する技術も進化しています。リアルタイムでの音声合成も可能になり、表現の選択肢が広がってきています

既存の音からのAI音声合成については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

お客様事例|株式会社ウェイブ

株式会社ウェイブでは、3Dホログラムキャラクターによる対話を実現するために、AI音声合成を導入しました。自由度の高い会話の実現には事前収録音声だけでは限界があり、リアルタイムで音声を生成できる仕組みが必要だったためです。

導入したのは、「AITalk® CustomVoice®」です。キャラクターのイメージに合った声優の声をもとに音声モデルを構築できる点が、採用の決め手となりました。イントネーションや話し方を細かく調整できるため、キャラクターの動きや感情に合った自然な会話表現が可能になったといいます。また、ライブで使用される声優の生歌との違和感を抑えられる点も評価されています。

参照:お客様事例|株式会社ウェイブ

AI音声が声優業界に与える影響と課題

AI音声合成の技術が進化するにつれ、声優業界にもさまざまな変化が生じています。特に、無断での音声学習や権利の扱い、AIとの共存のあり方などが問題視されており、業界内で議論が進んでいます。

無断で音声を学習されるリスクがある

AIによる音声学習は、現行法の解釈によっては違法と判断されないケースがあります。その結果、声優の同意がないまま声が学習され、AI音声として使われてしまう可能性が生じます。

声の権利に関する法整備は現状に追いついていない

キャラクター名や声優名を使ってAI音声を生成・公開したり、広告に利用したりすると、商標権やパブリシティ権を侵害するおそれがあります。一方で、出演作品の音声をもとにAI音声を生成する行為自体は、現行法の枠組みではただちに違法と判断されない場合もあります。

AIと共存する活用法を模索する声優も

声優自身がAIとの共存を前向きに模索する動きも広がっています。例えば声優の梶裕貴さんは、自身の声を生成AIに学習させた公式AIキャラクターを用いてプロジェクトを始めました。声優としての経験を活かしつつ、新しいエンターテインメントの可能性を探っています。

こうした取り組みでは、AIを単なる代替手段ではなく、演技表現や創作活動を補助する“拡張ツール”として位置づけています。声優はAIを活用することで、演技や表現により多くの時間を割けます。また、公式に管理されたAI音声の利用により、権利に配慮しながら新しいコンテンツを制作できます。

AI音声と声優業界の今後の動向

AI音声の普及に伴い、声優業界では技術の活用と権利保護を両立させる仕組み作りが重要なテーマとなっています。ここからは、今後の業界の方向性や企業の取り組みを整理します。

法整備の必要性

現状では、技術の進歩に法整備が追いついていません。声優業界では、AIによる音声学習を許諾制にするなど、著作権法の改正を求める声が上がっています。今後は、声の権利を明確化し、AI音声活用の安全性を高めるための法制度の整備が期待されます。

企業による「声の権利」を守る取り組み

企業側でも、声の権利を守る取り組みが進んでいます。例えば、NTT西日本が提供する「公認AI音声」のように、声優の許諾を得て安全に生成される音声サービスが登場しています。

また、ILAS(日本音声AI学習データ認証サービス機構)への加盟など、各社が独自に安全基準を設ける動きも見られ、声優の権利保護とAI音声の健全な利用の両立が模索されています。

出典:「NTT西日本が“声の権利”を守り、“声の価値”を高める音声AI事業「VOICENCE」を開始~“公認AI”により、AI音声の健全なビジネス活用を促進する仕組みを構築~」

声優の権利を守りながらAI音声を使うポイント

声優の声をAI音声として活用する際には、権利やライセンスの扱いを正しく理解し、透明性を保つことが不可欠です。ここからは、声優の権利を守りながらAI音声を活用する方法を紹介します。

ポイント①ライセンス体系が明確なAI音声合成ソフトを利用する

AI音声合成ソフトは、使用できる声の種類や用途、商用利用の可否が製品によって異なります。特に商用利用の場合は、使用範囲や契約条件を事前に確認しておく必要がありますソフトによっては追加の許可が必要な場合もあるため、導入前に内容を把握しておくことが重要です。

ポイント②AI音声合成を活用したら、AI生成であることを明示する

AI音声を制作・使用する際は、人工的に生成された音声であることをコンテンツに明示する必要が生じる場合があります。事前に伝えることで、利用者や視聴者の誤解を防ぎ、声優の権利にも配慮できます。特に商用コンテンツや公の場では、「AI音声を使用しています」などの表記を添えるのが望ましいでしょう。

声優のクリエイティブを広げるAI音声合成

AI音声合成は、声優の新しい表現の可能性を広げるツールです。適切な使い方をすれば、声の権利に配慮しつつ制作や配信に活用でき、声の魅力をさまざまな形で届けられます。

エーアイでは、AI音声を安全かつクリエイティブに活用できるツールの提供や情報発信を行っています。権利に配慮しながら制作のアイデアを形にしたい場合は、ぜひご相談ください。

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AITalk® Custom Voice®

「AITalk® Custom Voice®」は、芸能人や声優、自分の声を収録し、日本語音声合成用のオリジナル辞書を作成するサービスです。
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