2025/09/01 / AI
近年はスマートフォンやAI技術の発展に伴い、セキュリティ対策とユーザーの利便性がより重要視されています。そうした流れの中で「声認証」は、人の声を利用して本人確認を行う次世代の生体認証技術として注目されています。
本記事では、声認証の仕組みや利点・課題、活用事例に加えて今後の展望を解説します。さらに、おすすめのシステムも紹介するため、導入を検討する際の参考にしてください。
声認証の仕組みと、注目されている背景について詳しく見ていきます。
声認証とは、人の声を使って本人確認を行う「生体認証技術」の一つです。声には声帯の形や話し方など、個人ごとに異なる特徴があり、それらを「声紋(せいもん)」というデータとして記録・照合することで、本人かどうかを判断します。
利用者が自分の声を複数回録音し、システムに登録します。この音声から、声の特徴を抽出します。
録音した音声の「周波数」や「強弱」などを数値化し、個人固有の声紋データを作成・保存します。
本人確認の際には、話した音声と登録済みの声紋をAIや音響処理技術で照合します。一致度が高ければ、本人と認められます。
近年、雑音を除去する音響技術と深層学習の発達により、個人の声を精度高く判別できるようになりました。
この進歩により、セキュリティ強化や利便性向上を重視する金融機関、コールセンター、スマートデバイスなどで声認証の導入が進んでいます。今後も多くの分野で活用が広がると見込まれます。
AI音声認識については、以下の記事で詳しく紹介しています。あわせてお読みください。
声認証がどのようなものに活用されているのか、その具体例を見ていきましょう。
金融機関では、ATMやオンラインバンキング、コールセンターなどで声紋認証を用いた本人確認が広がっています。例えば銀行のコールセンターでは、利用者が電話であらかじめ登録した声を使って認証を行い、オペレーターを通さずに残高照会や振込手続きを進められます。
一部のATMでは、カードや暗証番号に加えて利用者の声をAIが分析し、本人を特定する仕組みが導入されています。これにより、なりすましや情報漏洩のリスクを減らし、非接触でスムーズな取引を可能にしています。
コールセンターでは、声認証の導入によって顧客の本人確認を自動化・効率化する取り組みが進んでいます。従来はオペレーターが氏名や生年月日などを順に確認していましたが、声認証を使えば顧客が話し始めた瞬間に音声から個人を特定できます。その結果、確認にかかる時間が短縮され、オペレーターと顧客の負担が軽くなります。
さらに、なりすましや不正アクセスへの対策にも有効であり、録音再生による詐欺リスクの低減にもつながります。IVR(自動音声応答システム)やセルフサービスとの連携も容易で、サービス全体のセキュリティと利便性を高める役割を果たします。
オフィスや施設で使われる声認証システムは、利用者がマイクに向かって決められたフレーズを話すだけで、非接触で本人確認とドアの解錠を行えます。両手がふさがっている場合やカードを忘れたときでも利用でき、利便性が高い点が特長です。さらに勤怠管理システムと連携させれば、出退勤の記録を自動化でき、業務効率の向上にもつながります。
スマートフォンやタブレットでは、マイクに向かって声を出すだけで認証できる「声認証」の導入が進んでいます。パスワードやPINコードの入力が不要になり、外出先やリモートワーク中でも手軽で衛生的に本人確認ができます。さらに、顔認証や指紋認証と組み合わせた多要素認証として使うことで、セキュリティも強化できます。
声認証の活用の場面が増えている理由に、複数のメリットが挙げられます。
声認証の大きなメリットに、活用の幅が広い点が挙げられます。日常生活から業務シーンまで多様な場所で導入でき、その利便性・安全性の高さから業務効率化にも寄与します。
声認証は、高いセキュリティ強度を持つ認証方式として注目されています。声紋は声帯の形状や発音時の口腔、声の高さや話し方など複数の要素が組み合わさって決まるため、他人が真似るのは困難です。また、従来のパスワードやPINコードのように盗み見や流出のリスクがなく、本人以外による不正利用を防ぎやすい点もメリットです
声認証技術は、ハンズフリーかつ非接触での認証を実現できるメリットがあります。これにより、衛生管理が求められる医療機関や製造現場、公共施設でも導入しやすく、物理的な接触を避けることで感染症対策にも寄与します。
声認証は多くのメリットを持つ一方、導入にあたって考慮すべきデメリットも存在します。
声認証は、ノイズや音声品質の影響を受ける場合があります。周囲が騒がしい環境や通信品質が不安定な状況では、認証用の音声が正確に収集できず、認証精度が低下する可能性があるでしょう。
また、マイクの性能や録音状態によっても認証結果にばらつきが生じやすくなります。加えて、通話アプリやデジタル機器を経由することで発生する音声の圧縮・変換にも注意が必要です。
声認証は声の特徴を利用するため、体調や感情、年齢などの変化に影響を受けやすいという弱点があります。風邪で声がかすれたり、喉の調子が悪いとき、あるいは強い緊張状態にあるときには、声帯の振動や発音が普段と異なり、認証精度が下がる場合があります
声認証は安全性の高い生体認証ですが、依然として「なりすまし」のリスクは捨てきれません。他人の声を録音・再生する手法に加え、近年ではAI技術によって本人の声を模倣する「ディープフェイク音声」を悪用するなど、巧妙化した攻撃手法も登場しています。
vGate Authentication®は、AI技術を活用した高精度な声認証システムです。声の微細な特徴をAIが学習し、人の耳では聞き分けが困難なケースでも高い認証精度を実現します。
短時間で簡単に声の登録ができ、言語に依存せず任意のフレーズで認証できる柔軟性が魅力です。事前登録なしでも複数人の発言を自動識別し、発言ごとにテキスト化できる話者分離機能も搭載しています。
利用シーンは多岐にわたり、IoT機器やロボットでのユーザー識別、各種デバイスのログイン認証、会議や対談時の話者分離による議事録作成など、幅広い用途に対応しています。提供形態も豊富で、WebAPIやSDK、クラウド、オンプレミスなど、企業の規模やニーズに応じて柔軟に導入できるのも大きな強みです。
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株式会社AnchorZが提供するバックグラウンド認証システム「DZ Security®」は「vGate Authentication®」を活用しています。利用者の声などの生体情報に加え、日常の行動パターンや利用履歴など複数の要素を組み合わせて、システム利用中も随時・適宜に本人認証を自動的に実施します。
ユーザーが意識することなく常時認証が継続されるため、なりすましや不正アクセスのリスクを大幅に低減できるのが魅力です。セキュリティ性を確保しつつ、利便性も損なわない認証体験を実現しています。
株式会社MIXIが展開する自律型会話AIロボット「Romi(ロミィ)」にも「vGate Authentication®」が採用されています。Romiは、会話AIによって利用者ごとに自然な会話を生成し、家族やオーナーなど複数人を個別に識別できる「ファミリー登録」機能を搭載しており、登録されたユーザーごとに最適な応答やサービスを提供可能です。
Romiには複数の音声認識技術が組み込まれており、オフライン環境でも高い精度で声認証が行えるのが強みです。インターネット接続が不安定な環境でもユーザー認証が可能となり、安心して利用できます。
声認証は、セキュリティと利便性を両立できる次世代の生体認証技術として、多様な分野での活用が期待されています。非接触かつハンズフリーで運用できる点や、高い精度の本人確認を求められる場面では、特に重要性が増していくでしょう。
導入を検討している企業や関心をお持ちの方は、AI音声合成技術「AITalk」の活用も含めて、株式会社エーアイまでお問い合わせください。専門スタッフが最適なソリューションを提案します。