2025/10/31 / AI

音声による機器操作は、作業効率の向上やミスの削減、安全性の確保など、現場に多くのメリットをもたらします。しかし、正確な音声操作を実現するには、発話内容を精度高く理解する「音声認識システム」の存在が欠かせません。
本記事では、音声操作のメリットと、操作を支える音声認識システム選定のポイントについて解説します。
現場作業では、機器の操作と目視による確認・作業を同時に行う必要があり、集中力が分散するなどの課題があります。こうした課題を解決する手段として注目されているのが、音声操作です。
音声操作により、手を使わずに操作が可能になり、作業への集中が途切れにくくなります。結果として、業務の生産性が高まり、ミスの防止や安全性の向上にもつながります。
音声操作を実現するには、「音声認識システム」が必要です。音声認識システムとは、マイクで拾った音声を解析して言葉を特定し、機器が理解できる指示に変換するシステムです。
音声認識システムには「クラウド型」と「ローカル型(オンプレミス型)」の大きく2つの種類があります。それぞれ特徴があるため、組み込み先のスペックや用途に合わせて選びましょう。

音声認識には大量のデータ処理と高い演算能力が求められるため、運用環境に応じてクラウドとの連携が必要か、端末内で処理を完結させるかを見極める必要があります。以下の点を、事前に整理しておきましょう。
・音声認識を組み込むハードウェアの性能
・ネット接続の有無
・使用する現場や目的
求められる認識精度や応答速度を整理しておくことで、ベンダーとの協議も円滑に進みます。
機器操作を目的とした音声入力では、発話が短く処理量も限定的なため、比較的低コストで導入できるローカル型の音声認識システムが適しています。ローカル型であれば、外部ネットワークに接続する必要がなく、機密性の高い情報を扱う現場でも安心して利用できます。ただし、機器内に直接システムを組み込むため、機器そのもののスペックが問われます。
長文の入力や自由な発話内容を扱う場合は、より高度な処理能力が求められるため、クラウド型のシステムが必要になります。クラウド型システムの導入にあたっては、ローカル型と同じく機器のスペックが問われるほか、サーバーの設置場所やスタンドアロン運用の可否など、検討事項が多くなる点に留意しましょう。
AI音声認識について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
音声操作システムの導入にあたり「具体的にどんな環境で利用できるのか」「どのくらいのスペックの機器を用意したらよいのか」といった疑問を感じる方は少なくないでしょう。ここでは、音声操作システムの組み込みに関してよく寄せられる疑問に、わかりやすくお答えします。
音声操作システムの多くは、ある程度の雑音環境なら問題なく使用できます。近年ではノイズ除去技術が進化し、周囲に音がある状況でも高い認識精度を維持できる製品が増えています。
たとえば、エーアイの「vGate®」には、音声から不要な音を除去する機能が搭載されています。この処理により、実際の認識では「全体の音声からノイズを差し引いたもの」が発話として抽出され、必要な音声だけを正確に認識できます。
騒音が激しい環境でも、音声操作システムを利用できるケースは多くあります。カギとなるのは雑音の大きさではなく、認識対象の音声と周囲の雑音との比率、いわゆるSN比(信号対雑音比)です。
この比率が高いほど、認識の精度も向上します。たとえば、発話者の口元に指向性マイクを設置し、感度を適切に調整すれば、騒音の影響を抑えながらSN比を高めることが可能です。集音環境の工夫や適切な機器選定・設定についてアドバイスできるベンダーを選ぶのも、騒音下での安定運用のポイントといえます。
長文の音声認識を必要とする場合、組み込み先の機器にはオフィスで使うパソコン程度の性能を想定しておくとよいでしょう。
多くの語彙を認識しなければならない場合は、サーバー型の音声認識システムを使用することになります。ネットワーク接続が難しい場合でも、組み込み先にパソコン相当のスペックがあれば、スタンドアロン形式で機器内部にサーバー型システムを組み込めます。
参考までに、機器内に音声認識組み込みも可能な「音声認識ロボット」については以下で解説しています。
機器の音声操作システムは、さまざまな現場で活用されています。ここからは、実際の活用例と効果について見ていきましょう。
測定結果を離れたパソコンに手入力する従来の方法は、作業の手間や時間の負担となっていました。音声操作システムによりハンズフリーで数値を登録できるようになれば、手を止めることなく作業を進められます。また、人的ミスの防止にもつながります。
仕分け業務では、従来はハンディターミナルを操作しながら作業する必要があり、手元の作業と機器操作を並行して行うことで集中力が分散しがちでした。音声認識による操作を導入することで手元の作業に集中できるようになり、仕分けミスの削減につながります。

vGate ASR®は、騒音の多い現場でも高精度な音声認識が可能な国産システムです。インターネットに接続するサーバー型と、機器内で動作するローカル型の両方を提供しており、用途やセキュリティ要件に合わせて柔軟に導入できます。
高性能なノイズ除去や発話区間検知などの最新音響処理技術を搭載し、カスタマイズや多言語対応に対応しているのも特徴です。IoT機器やロボット、業務端末など幅広い音声操作シーンで、業務効率化と安全性向上に貢献します。
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音声による機器操作は、業務効率化と現場DXの推進に直結します。手作業と並行して音声で操作・入力が行えるため、作業環境の最適化と生産性向上が可能です。
製造・物流・建設など多様な現場では、作業内容や求められる精度が異なります。こうした環境に対応するには、高精度で柔軟な音声認識システムの導入が重要です。現場に最適な仕組みを整え、音声操作を活用することで、企業全体のDXと競争力を高められます。
音声操作を取り入れ、現場のDXを推進したいとお考えの方は、一度エーアイまでご相談ください。