社内研修を内製化するメリット・デメリットを解説

2023/11/20 / 社内業務効率化

社内研修の方法を大きく分けると、社内で企画して社内の講師が行う「内製化」と、外部に研修を依頼する「外部委託」の2種類があります。

それぞれ特徴や目的、メリット・デメリットが異なるため、どちらが良いかを一概に判断できるものではありません。研修の目的に応じ、適宜使い分けるのが理想的でしょう。

ここでは、2種類に大別される研修方法のうち「内製化」に注目。社内研修を内製化する主なメリット・デメリット、および、オンライン動画により研修内製化を成功させた企業の事例をご紹介しています。

社内研修を内製化する4つのメリット

社内研修を内製化することで、企業には様々なメリットがもたらされます。以下、主なメリットを4つほど見てみましょう。

研修を受けた社員の具体的なスキルアップにつながりやすい

研修を内製化させれば、研修テーマや採用事例は実際に社内業務内で起こった事象の中から拾われる可能性が大。業務に直結したタイムリーなテーマをベースに研修が構築されるため、研修を受ける社員の理解度も深くなりスキルアップにつながりやすくなるでしょう。研修で学んだことが、早くも翌日の現場で役立つかもしれません。

それに対して外部委託による研修は、外部の研修会社が持っているテーマをベースに行われるため、長期的には役立つ内容だったとしてもすぐに現場で活かせる研修にはなりにくいのが実情。実際には力になっているにも関わらず、現場ですぐに活かせる内容でなければ、役立っているのかどうかを自覚できない社員も出るでしょう。

研修を行う講師自身のスキルアップにもつながる

研修を行う講師自身にも、研修スキルの向上が期待できます。
人に何かを理解させることは、決して簡単ではありません。同じ内容を同じ言葉で伝えても、正しく理解できる社員がいる一方で、誤解する社員もいるでしょう。

実例を上げなければ理解できない社員もいれば、抽象的な説明で正しく理解できる社員もいるでしょう。もとより、社歴の長さによっても研修の理解度に大きな差が生まれます。

様々なタイプの社員に対し、同じ知識を同じレベルまで理解させるため、講師はあらゆる角度からテーマを理解したり、伝え方を研究したりしなければなりません。結果として講師自身、研修を行うプロとして大きくスキルアップすることでしょう。

自社固有の研修ノウハウを共有・蓄積できる

社内の講師が社内の人間に対して具体的な研修を行い続けることで、「どのような研修が社員のスキルアップに役だったか」「どのような研修が生産性のアップにつながったか」等々、その会社に特有の研修成果が蓄積されていきます。

これらの研修成果を自社固有の「研修ノウハウ」として蓄え続ければ、研修を通じた自社の永続的成長に大きく役立つことでしょう。

柔軟に研修内容を変更・修正できる

社内研修が内製化されていれば、その時々の状況や受講者からのニーズに応じ、研修内容を柔軟に修正・変更することが可能。現場で役立つタイムリーな内容を優先して研修を行うことができます。

一方で社内研修を外部委託する場合、研修を提供する会社側で特定のテーマを決めているため、受講者からのニーズ等に応じて柔軟に研修内容を変更できません。社員が今知りたいこと、社員に今伝えたいことをテーマにできる点は、研修を内製化する大きなメリットの1つになるでしょう。

社内研修を内製化する3つのデメリット

社内研修を内製化することには、避けられないデメリットもあります。以下、主なデメリットを3つほど見てみましょう。

社内の研修コストが高くなる可能性もある

社内研修を内製化することで、外部委託に比べて研修コストが高くなる可能性もあります。内製化によりコストが安くなると思っていた企業様にとっては、意外な話かもしれません。

多くの社員に正しく情報を伝え、かつ現場に役立つよう無駄なく具体的な研修を行う能力は、一朝一夕で育成されるものではありません。1人のプロの講師を育てるまでに、会社は相応のコストを負担することになるでしょう。

また、たとえ研修を内製化したとはいえ、基本的に節約できるコストは「外注費-自社講師の人件費」の部分。長期的に見れば、自社講師の人件費より外注費のほうが安い場合も多いため、必ずしも研修の内製化がコスト削減につながるとは言えません。

講師の育成に時間とお金が掛かる

上でも触れた通り、プロの社内講師を育成することは、決して容易ではありません。一流の講師へと育成するためには、相応の時間とお金が掛かります。この時間とお金をデメリットと感じる企業には、研修の内製化が向いていない可能性もあるでしょう。

これから研修の内製化に取り組むということは、もともと研修担当の講師がいなかったということ。つまり、今まで講師経験のない社員に打診し、一から講師に育てるということになります。このような状況下で、講師育成の時間とお金を避けることはできません。

社外のノウハウや知識から刺激を受ける機会がなくなる

研修の内製化を定着させると、現場社員には、社外のノウハウや知識を得るきっかけがなくなります。自社の考え方と外部の考え方の化学反応を大切にしていた企業にとって、研修の内製化により外部からの情報が途絶えることはデメリットになるでしょう。
「研修では社内情報しか得られず刺激がない」と感じる社員にとって、仕事へのモチベーション低下につながるかもしれません。

オンライン動画研修の内製化を推進している事例

社内研修の内製化に関連し、従来の研修のやり方からオンライン研修に切り替えて内製化を図った事例をご紹介します。

大手会計ソフトで知られる株式会社弥生では、従来、対面形式による研修の内製化を実施していました。
ところが新型コロナの第一波発生に伴い、対面形式での研修を中断することとなり、代替策として株式会社エーアイの人工音声ナレーションツール「AITalk®」を導入したオンライン研修の内製化を推進。結果としてオンライン研修から得られるメリットが大きく、新型コロナが落ち着いてからも継続して動画教材によるオンライン研修を進めています。

もともと新型コロナ以前から一部では動画を使用した社内研修を行っていた同社でしたが、動画内のナレーションが1人の専任担当者に任せていた状態だったため、急な動画内容の変更等に無理が生じていたとのこと。

「AITalk®」の人工音声を導入して以降、コロナ禍での在宅ワーク中でも動画教材を社内へ安定的に供給できる状態となり、社内満足度の向上につながりました。

研修動画のナレーション音声はAIによる人工音声ですが、限りなく人間の声に近い人工音声なので、動画の受講者からは「むしろ聞き取りやすい」という声も上がっているとのことです。

【まとめ】社内研修の内製化:その利点と欠点、そして成功例

  • 社内研修の内製化は、社員の具体的なスキルアップや講師自身のスキルアップ、自社固有の研修ノウハウの蓄積、そして研修内容の柔軟な変更・修正といった利点を持っています。
  • しかし、内製化には研修コストが高くなる可能性、講師の育成に時間とお金がかかる、社外のノウハウや知識からの刺激が減るといった欠点も存在します。
  • 株式会社弥生は、新型コロナウイルスの影響で対面形式の研修を中断し、代わりに人工音声ナレーションツール「AITalk®」を導入したオンライン研修の内製化を進め、在宅ワーク中でも動画教材を安定的に提供でき、社内満足度が向上しました。
  • 人工音声によるナレーションは人間の声に近く、受講者からは「聞き取りやすい」との評価を得ています。
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