2025/12/02 / 社内業務効率化

人口減少や職員不足という課題に直面する自治体にとって、生成AIの導入は重要な検討事項となっています。業務効率化と住民サービス向上を両立する手段としてすでに多くの自治体が導入しており、成果を報告する声も上がっています。
本記事では、自治体でどのように生成AIが活用されているのか、音声AI技術(音声合成・音声認識)を中心に解説します。
生成AIの活用が注目される一方で、「専門知識が必要そう」「誤情報が心配」といった不安から導入をためらう自治体も見られます。
そのなかで比較的導入しやすく、業務効率化に直結するのが音声AI技術(音声合成・音声認識)です。電話応対の自動化や議事録の文字起こしなど、日常業務を支える場面で効果を発揮し、職員の負担軽減が期待できます。
条例や法令の照会業務に、生成AIを活用した検索支援や文書解析の活用が進んでいます。例えば京都市では、住民からの問い合わせを音声で受け取り、AIが解析して該当する情報を回答する仕組みが導入されています。これにより、職員が行っていた定型的な対応が効率化され、電話が集中する場面でも迅速で正確な案内が可能になります。
埼玉県川口市や神奈川県川崎市など問い合わせ件数の多い自治体では、AIが初期対応を担い、複雑な内容だけを職員に引き継ぐ運用も広がっています。住民の待ち時間が短縮されるだけでなく、24時間対応が実現し、利便性の向上につながります。
電話自動応答を実現するIVRについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。
AI音声合成による、広報誌やWebサイトの自動読み上げを導入している自治体もあります。これにより、高齢者や視覚障がいのある方でも、スマートフォンや専用端末を通じて最新の行政サービスや地域情報にアクセスできます。こうした取り組みは、情報格差を縮小し、誰もが平等にサービスを利用できる環境の実現に寄与しています。
Webサイトの読み上げについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。
役所内の案内放送やイベント告知には、AI音声合成の活用が有効です。原稿を入力するだけで迅速に内容を更新できるうえ、職員が個別にアナウンスを準備したり録音を繰り返したりする必要がありません。また、多言語対応のAI音声合成を利用すれば、外国人住民への案内も円滑に行えます。誰もが理解しやすい情報提供を実現する取り組みとしても、注目されています。
ご当地・観光案内キャラクターへの音声付与に、AI音声合成を活用する活用法もあります。キャラクターに音声を吹き込むことで、観光客や住民に親しみやすい情報提供が可能となり、自治体のブランド力向上にもつながります。
また、方言対応の音声合成を利用すれば地域らしさを演出でき、多言語展開によって外国人観光客への案内も円滑になります。こうした取り組みは、観光DXや包摂的なまちづくりの推進に貢献しています。
防災行政無線への音声合成導入はすでに全国の自治体で実施されており、「AITalk®」は2025年3月末時点で957件の導入事例があります。従来は特定の担当者に作業が偏り、緊急時に不在だと放送が遅れる懸念がありました。その点、AI音声合成を利用すれば、緊急時に担当者が不在でも速やかな放送が可能になります。
また、AI音声合成では人の声より聞き取りやすく加工する「音声明瞭化」技術を活用できます。これで、高齢者など聞き取りにくさを感じる人にも、情報を届けやすくなります。
自治体の会議や議会では、AI音声認識技術を活用した議事録作成が広がっています。従来は職員が長時間かけて音声を聞き取り、発言者ごとに手作業で文字起こしや編集を行っていましたが、AIの導入により自動化が可能になりました。法律や条例、固有名詞を事前に単語登録しておけば、複雑な内容も正確に反映できます。
職員の負担が減るとともにスピーディに会議録を公開できるようになり、市民に対する情報提供の信頼性も向上します。
自治体における生成AIの導入状況は、ここ数年で大きく進展しています。令和7年に総務省が発表しているデータをもとに、近況を見ていきましょう。
生成AIを導入している自治体は、都道府県で87%、指定都市では90%に達しています。また、その他の市区町村についても導入率は30%となっており、全国的に生成AIの活用が進みつつあることが分かります。
さらに、実証実験中や導入予定の自治体を含めると、都道府県・指定都市では実に100%、その他の市区町村でも51%に及びます。都道府県や大都市圏の自治体を中心に、生成AIが自治体業務の中核的なツールになりつつあるといえるでしょう。
実際に生成AIを導入した自治体では、業務時間の削減効果が現れています。例えば、議事録や答弁原案の作成、各種報告書の作成など、従来は職員が手作業で膨大な時間をかけて対応していた業務が、生成AIの活用により自動化・省力化されました。
なかでも活用事例の多い議事録の要約においては、年間で1,000時間を超える削減効果が報告されています。
自治体が生成AIを導入する際の主な課題は「人材育成」「費用」「セキュリティと正確性」の3つです。生成AIは運用にあたって専門的な知識や体制が求められるため、導入に慎重な自治体も少なくありません。
一方、音声AI技術(音声合成・音声認識)は、人材育成のハードルが比較的低い技術です。AI音声合成はテキストを入力するだけで音声を生成でき、音声認識もモデルの調整は業者側で行います。
したがって、音声AI技術の導入において主な検討ポイントとなるのは「費用」と「認識精度」となります。
自治体におけるAI導入の費用は、導入時の初期費用と運用にかかるランニングコストに大きく分けられます。特に対話型の生成AIを業務に活用する場合、システムの導入・設定・現場への適用準備などに数百万円規模の初期費用がかかるケースもあり、費用面で導入をためらう自治体も少なくありません。
一方で、AI音声技術のうち「音声合成」は、比較的導入しやすい分野です。クラウド型サービスを選べば初期費用を抑えられ、案内音声やガイダンス作成など更新頻度が低い用途では月額課金型の利用が現場の負担を軽減します。
たとえば、AITalk®のクラウド版は月額60,000円(税別・2話者)から利用でき、短期間の利用や更新頻度が少ないケースに適しています。
自治体におけるAI導入では、住民の個人情報や行政の機密データを扱うため、情報漏洩や不正アクセスを防ぐ厳格なセキュリティ対策が不可欠です。クラウド型サービスは外部ネットワークとの通信を伴うため、機密性の高い業務では利用が制限される場合があります。
その点、ローカル型であればインターネット接続を必要とせず、庁内のPCや専用機器のみで処理を完結できるため、データが外部に送信されるリスクを回避できます。AI音声認識は話者の癖や環境音の影響を受けるものの、用途に応じたモデル選定やチューニングによって実用レベルの精度を確保できます。
たとえば、エーアイが提供する議事録作成支援ツール「OtoNote」は、オフライン環境で利用可能です。個人情報を外部に送信せずに音声認識を行えるため、庁内会議や窓口対応の記録など、正確性と安全性が求められる場面で活用されています。

自治体の放送・広報の音声化や防災無線の明瞭化、議事録・電話対応の効率化まで、音声まわりのAI化ならエーアイにご相談ください。AITalk®は、原稿を自然で聞き取りやすい音声に変換するAI音声合成システムです。多言語・多話者に対応しており、庁内放送や広報誌の音声化、観光案内まで幅広く活用できます。

また、vGate ASR®は、騒がしい環境でも正確に音声を聞き取るAI音声認識システムです。専門用語は辞書登録で対応し、ネットに接続できない環境でも動作します。議会・会議の文字起こしや窓口・コール業務の音声認識に適しています。
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株式会社エーアイのAI音声合成「AITalk®」は、防災行政無線での導入が2025年3月末時点で957自治体、全国の約55%に達しています。人声放送のばらつきや災害時の人員確保の難しさを背景に、即時性と安定運用を目的として音声合成への移行が進んでいる状況です。
AITalk®は特定周波数強調などの音声了解度改善技術により、雨風などの騒音下や屋外拡声でも明瞭性を確保し、高齢者にも聞き取りやすい放送を実現します。効果は総務省消防庁の実証で確認されており、今後もメーカー各社と連携し、使いやすさと聞き取りやすさの向上に取り組みます。
出典:AI音声合成 AITalk®、防災行政無線へ累計導入数950件超全国自治体の55%が採用へ

リアルタイム音声翻訳・文字起こしツール「オンヤク」では、日本語音声認識のコア技術としてエーアイの「vGate WebAPI®」と「音声認識モデル自動作成システム」を一部に採用しています。
vGate ASR®は騒音環境に強く、専門用語や固有名詞を学習させたカスタムモデルを短期間で構築できるのが強みです。サーバー型/ローカル型の両提供形態に対応し、庁内のセキュリティ要件にも柔軟に適合します。
人口減少による職員不足が深刻化するなか、AIによる業務効率化は住民サービスの質を維持・向上させる有効な手段といえます。
なかでもAI音声合成とAI音声認識は、活用の幅が広い技術です。音声認識は議事録作成などを自動化し、職員の負担を軽減できます。また、音声合成は防災無線や電話自動応答、広報誌の音声化といった住民向けの情報発信をよりスムーズにします。
エーアイの製品は多くの自治体で導入実績があり、業務効率化に役立っています。興味を持っていただけましたら、お気軽にお問い合わせください。
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「AITalk® Custom Voice®」は、芸能人や声優、自分の声を収録し、日本語音声合成用のオリジナル辞書を作成するサービスです。
文字を入力するだけで、本人の声のようなリアルな音声で喋らせることができるので、WEBキャンペーンや、スマートフォンのアプリケーション、ゲーム、バーチャルキャラクター、テレビ番組等で、インパクトのある音声コンテンツを実現できます。