2024/10/31 / 社内業務効率化
日常やビジネスの現場で広く活用されている「AI音声認識」は、技術の進歩によって高精度な音声認識と解析が可能になり、議事録作成や多言語対応が求められる場面で業務効率化や情報伝達の円滑化に役立っています。
この記事では、AI音声認識の歴史から活用例、仕組みまでわかりやすく解説します。メリットやデメリットも紹介していますので、導入を検討している方は参考にしてください。
近年、AI音声認識は急速に発展し、スマートスピーカーや音声入力などさまざまなかたちで私たちの生活に浸透しています。ここでは、AI音声認識の定義と進化の過程を紹介します。
AI音声認識とは、「人間が話す言葉を、コンピュータが理解できるテキストデータに変換する技術」です。英語では ASR (Automatic Speech Recognition) とも呼ばれ、スマートフォンの音声アシスタントや、スマートスピーカーに搭載されている中核技術です。
従来の音声認識と区別して「AI」と付くのは、近年の技術がAI(特にディープラーニング)の活用によって、精度を飛躍的に向上させたためです。
AIが大量の音声データを学習することで、発音やアクセントの違い、周囲の雑音にも対応しやすくなり、より正確に音声を認識できるようになっています。
音声認識の起源は1971年、アメリカの国防高等研究計画局による研究の着手が始まりとされています。1975年には、IBMが民間で初めての音声認識技術を開発しました。一方、日本では1960年から音声認識に関する論文が発表されており、当時から注目されていたことがわかります。
1995年、MicrosoftがWindows95に音声認識機能を搭載したことで、一般にも認知されるようになりました。2011年にはiPhone 4SにSiriが搭載され、より身近な存在となりました。現在はスマートスピーカーや電話自動応答、音声入力など、さまざまな場面で活用されています。
AI音声認識は、さまざまな分野で実用化が進んでいます。
AI音声認識により、会議や打ち合わせの内容をリアルタイムで文字起こしできます。作業効率が向上するだけでなく、正確な議事録を作成できます。
AI音声認識は、ロボットやIoT機器への音声操作にも活用されています。例えばスマートホームでは、照明の操作やエアコンの温度調整が音声で行えます。手足を動かさずに指示できるため、日常の利便性が高まります。
AI音声認識はコミュニケーションロボットやデジタルアシスタントにも活用されており、ユーザーの声を正確に捉えて自然な会話を実現しています。日常生活のサポートや見守り、癒やしなどさまざまな場面で活用が進んでいます。
AI音声認識は、多言語翻訳にも活用されています。例えば、外国語の音声をリアルタイムで翻訳し、テキストに変換できます。異なる言語間でのコミュニケーションがスムーズに取れることから、ビジネスや観光地での利用が広がっています。
AI音声認識を活用した電話自動応答サービスは、コールセンターや店舗の電話対応に活用されています。予約受付や問い合わせ対応、支払い催促などを自動化することで、24時間365日の対応が可能となり、オペレーターの負担軽減や機会損失の防止につながります。
電話自動応答については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。
ここでは、AIはどのように音声を認識しているのかをわかりやすく解説します。
マイクから入力されたアナログ音声は、デジタルデータに変換されます。これが音響分析の工程です。デジタルへの変換により、AIは音声を分析できるようになります。その後、音声の特徴(周波数や強度など)を抽出します。
音響モデルは、デジタル化された音声データから「音素」を特定します。音素とは言語の最小単位で、日本語では母音や子音が該当します。音響モデルは、統計的手法により音声から音素を抽出し、単語へ変換するための基礎データを生成します。
発音(発話)辞書は、音素を組み合わせて単語に変換するためのデータベースです。音響モデルで特定された音素をもとに、「どの音素がどの単語に対応するか」を判断し、音声から具体的な単語を導きます。
単語を並べるだけでは文章として自然な日本語になりません。言語モデルは、単語を組み合わせて自然な文章を構築する役割を担います。大量の会話データや文章データを学習しており、単語がどの順序で使われるかを予測し、文章を生成します。
音声認識システムは、音声から得られた情報を最終的にテキストとして出力します。テキストは、ユーザーがそのまま利用できる形で提示され、議事録やチャットボットの回答に活用されます。
エーアイが開発するAI音声認識システム「vGate ASR®」は、AI技術による高精度な音声認識を実現し、IoT機器やロボット、カーナビ、アプリの音声操作など幅広く活用されています。
強力なノイズ除去技術、多言語対応(日本語・英語・中国語・韓国語)、呼びかけで起動するウェイクアップ機能など、多彩な機能を搭載しているのが特徴です。インターネット経由で認識する「サーバー型」と、端末内で処理する「ローカル型」があり、用途に応じて選択できます。セキュリティを重視したオンプレミス運用や、独自の音声認識モデルの構築にも対応しています。
vGate ASR®は、業務効率化や顧客サービス向上を目指す企業に適した音声認識ソリューションです。
AI音声認識システム「vGate ASR®」は、多くの企業・事例に活用されています。ここでは、2つの例をご紹介します。
VAIO株式会社の「おしゃべりコウペンちゃん」には、音声認識システム「vGate ASR®」を採用しました。「コウペンちゃん」は、SNSで人気のかわいらしいペンギンのキャラクターです。
ローカル型音声認識技術により、ユーザーの話しかけにしっかり反応し、インターネットに接続しなくても高精度な音声認識を実現します。ユーザーを褒めたり励ましたり、疲れた心をやさしく癒します。
住友電気工業株式会社の「業務日報ソリューション」では、営業担当者が商談記録を音声で入力できます。このAI音声認識機能として、「vGate ASR®」が採用されました。
10,000件以上の商品型番や専門用語を含む商談記録にも対応し、手間のかかる入力作業の手間を減らしています。これにより営業活動の効率が向上し、業務の生産性も高まっています。
ここからは、AI音声認識のメリットについて解説します。
AI音声認識は、手作業による入力や記録の負担を軽減します。従来の議事録作成では、担当者が会議中にメモを取り、後から時間をかけて清書する必要がありました。AI音声認識を活用すれば、会議の音声を自動でテキスト化できるため、作業をを短縮できます。
ほかにも、以下のような業務で手作業の負担軽減に役立ちます。
カスタマーサポート | 顧客の音声問い合わせをテキスト化し、オペレーターの応対効率向上 |
医療現場 | 医師の音声による診断メモをテキスト化し、カルテ作成の時間を短縮 |
法律事務所 | 相談者や依頼者との電話や面談の音声をテキスト化し、書類作成や情報共有に活用 |
これまで時間と労力を要していた作業を自動化することで、従業員の負担を軽減し、付加価値の高い業務に集中しやすい環境を整えられます。
AI音声認識は、業務の正確性向上にも効果を発揮します。聞き取りや手入力によるミスを減らし、効率的かつ正確な作業をサポートします。
例えば議事録作成で音声認識を活用すれば、タイピングが苦手な方でも、会議の内容を正確に記録しやすくなります。AIが文字起こしした内容を人が確認することで、聞き漏らしや入力ミスを減らせるでしょう。
AI音声認識は、顧客に新たな価値を届けるツールとなります。例えば、音声認識システムは24時間365日稼働できるため、顧客はいつでも必要なときにサポートを受けられるようになります。
また、音声認識を活用した対話型AIエージェントは、人と話しているような自然なやり取りを通して、これまでにない体験を提供する可能性を持っています。
AIを活用した声認識に関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。あわせてお読みください。
AI音声認識には多くのメリットがある一方、覚えておきたいデメリットもあります。
AI音声認識は、話者の表情やジェスチャーなど、言葉以外の情報は認識できません。また、同じ言葉でも、異なるニュアンスで受け取ってしまう場合があります。
周囲が騒がしい環境では、音声認識の精度が低下する傾向があります。特に、複数の話者が同時に話している場合や、背景に音楽や機械音などが流れている場合は、正確な音声認識が難しくなります。
標準語ではない発音やイントネーションでは、認識精度が低下する可能性があります。特に、地域特有の方言や強い訛りは、うまく音声認識できない可能性があります。
AI音声認識は、私たちの生活やビジネスを変える可能性を持つ技術です。コールセンター業務の効率化や議事録作成の自動化など、すでに多くの分野で活用が進んでいます。市場規模も拡大し、今後の技術発展への期待が寄せられています。
一方で、方言や訛りへの対応、ノイズへの耐性など、解決すべき課題も残されています。これらの課題を克服するには、高精度で信頼性の高いシステムを選ぶことが重要です。
そこで注目されているのが、高度な音声認識技術を備えた「vGate ASR®」です。上記の課題に対応しながら、スムーズで正確な音声認識を実現しています。豊富な実績を持つ「vGate ASR®」をぜひご検討ください。
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