研修動画のナレーションの選び方:人間かAIなどの機械にするか

2023/10/30 / 社内業務効率化

社内外に向けた研修動画の作成において、ナレーションは人間が行うべきでしょうか?それともAIなどの機械にやらせたほうが良いのでしょうか?
ここでは、研修動画のナレーションの選び方として、人間が良い場合とAIなどの機械が良い場合、それぞれ詳しく解説しています。

人間のナレーションを選ぶ場合

AIなどの合成音声によるナレーションが増えてきたとは言え、まだまだ人間の肉声によるナレーションは主流。人間のナレーションが適している例、人間のナレーションの特徴などについてご紹介します。

どのような事例に人間のナレーションが適しているか?

  • 1回の収録のみで完了する動画作成
    研修動画の収録が1回のみで完了し、かつ定期的な内容変更の必要がない場合には、人間によるナレーションでも特に問題はないでしょう。もちろん、AIなどの合成音声を使っても問題ありません。
  • 特定の人間(タレントなど)に依頼するナレーション
    特定の人間(タレントなど)にナレーションが定着している場合、ある時から突然AIなどの合成音声に変更されると、受講者は違和感を抱くでしょう。違和感が研修効率に影響しないよう、引き続き特定の人間にナレーションを依頼したほうが良いかもしれません。

人間のナレーションの特徴

  • コンテンツへの訴求力が高い
    プロのナレーターや俳優、タレントなどの中には、非常に高度なナレーション技術を持った人が少なくありません。感情の込め方、タイミング、間、抑揚などです。

これらの絶妙なナレーションは人間ならでは。技術力があればこそ、たった一言の短い言葉でも視聴者の心に強く届けられます。強く心に届いた動画は、長く視聴者の記憶に残り続けるでしょう。

  • シーンに合った抑揚や雰囲気を込められる
    例えば、同じ北海道の景色を伝えるナレーションでも、冬の猛吹雪が吹き荒れる場所か夏の避暑地かにより、人間のナレーションなら話し方や雰囲気の出し方を変えられます。シーンに合わせてナレーションの雰囲気を柔軟に変えられることは、人間ならではの特徴と言えるでしょう。

もちろん、AIによる合成音声でも雰囲気を変えたナレーションは可能ですが、人間のナレーションに比べると、やや音声が人口的なので現場の状況が伝わりにくい可能性もあります。

  • 個性を活かしたナレーションが可能
    プロのナレーターや俳優は、それぞれの声や喋り方に強い個性があります。高い声、クリアボイス、ハスキーボイス、落ち着いた話し方などです。

合成音声でも個性を出すことは可能ですが、人間のナレーターが持つ強烈な個性にはおよびません。「一度聞いたら忘れられない声」を出せるのは、人間だけではないでしょうか。

人間のナレーションの注意点

研修動画に人間のナレーションを入れる場合、ナレーション収録のための時間や場所を確保しなければなりません。もとより、ナレーターを手配することも必要です。収録当日は、リハーサルや本番、撮り直しなども多いため、想定以上に時間とコストがかかることもあるでしょう。

なお、ナレーターに素人を使う場合(自社の従業員など)、滑舌の問題などで聴覚体験が悪くなって研修効率に影響を与えることもあるため、ナレーターの選定には慎重になるべきでしょう。

合成音声(AIなど)のナレーションを選ぶ場合

人間の肉声によるナレーションは健在ですが、研修動画などの一部の動画ではAIなどの合成音声によるナレーションも一般化しつつあります。合成音声のナレーションが適している例、合成音声のナレーションの特徴などをご紹介します。

どのような事例に合成音声のナレーションが適しているか?

  • 定期的な内容変更・更新が必要な動画
    変更・更新の必要がない鉄板動画(創業者による社是など)なら人間のナレーションで構いませんが、定期的に内容の変更・更新が必要な動画については、手軽に変更・更新ができる合成音声によるナレーションを選んだほうが良いでしょう。

合成音声なら、ソフトにテキストを入力するだけでナレーションが完成。人や所を手配したりリハーサルを行ったりする手間も時間もかかりません。

  • 可能な限り作成コストを抑えたい動画
    ソフトにテキストを入力するだけでナレーションが完成するため、少なくともナレーションに関連するコストは大幅に削減できます。初期コストはかかるものの、継続的に研修動画を作成する予定の企業であれば、長期的には大きな研修費の削減につながるでしょう。

可能な限りコストを抑えて研修動画を作成したい企業は、合成音声によるナレーションが有効な選択肢となります。

合成音声のナレーションの特徴

  • テキストを入力するだけで簡単にナレーションができる
    先にも説明した通り、基本的にはソフトへテキストを入力するだけでナレーションが完成します。プロのナレーターを手配したり、収録の場所や時間を確保したりする必要もないため、その分のコストを節約できます。

また、合成音声は話し方が安定的なので、滑舌に問題がある素人のナレーションに比べると、むしろ聞きやすく研修効率が上がる可能性もあります。

  • 様々なタイプの合成音声から選べる
    人工音声を合成するソフトは複数のメーカーからリリースされていますが、中には、非常に多彩な合成音声を用意しているソフトもあります。
    例えば、株式会社エーアイの音声合成ソフトでは、大人~子供・各種外国語までの合成音声を用意。関西弁まで対応させるなど、ユーザーの幅広いニーズに対応可能となっています。
  • 人間の音声に近い自然なナレーション
    合成音声の技術は1970年代から存在していたとされていますが、その声質・音質は非常に人工的で、聞いた者に強い違和感を残しました。恐らく、現代でも合成音声に対し、同様の古いイメージをお持ちの方がいるかもしれません。

しかしながら、現代の合成音声は以前と違って大変自然です。人間と全く同じとは言いませんが、中には、人間が話していると勘違いする方もいるでしょう。

合成音声のナレーションの注意点

限りなく本物の人間に近いナレーションが可能となった合成音声ですが、そうとは言え、人間と完全に同じというわけではありません。いかに精度の高い合成音声であっても、よく耳を凝らして聞けば、多くの人はその音声が人間の肉声ではないことに気づくでしょう。

そのため、研修動画やコールセンターなどの定型対応なら合成音声でも問題ありませんが、感情や抑揚を込めたいイメージ動画などの場合には、合成音声が適していないこともあるのでご注意ください。

多少のエンジニアリング処理を行い、より合成音声を人間の肉声に近づけていくことは可能ですが、その場合、コストも時間も余分にかかります。結果として、最初から人間にナレーションを依頼しておいたほうが低コストで済む場合もあるため、適宜、案件にふさわしい選択肢を検討したほうが良いでしょう。

作成コストを重視するなら音声合成ソフトがおすすめ

人間の肉声によるナレーションのほうが適している動画ジャンルは少なくありませんが、一方、研修動画などのように合成音声によるナレーションでも大きな問題はない動画ジャンルも多々あります。

人間のナレーションと合成音声のナレーションの大きな違いとされた音質・声質については、その違いが徐々に埋まりつつあります。人的リソースや研修コストを抑えたい企業にとって、合成音声ソフトを使った動画ナレーションは有効な選択肢になるでしょう。

昨今では、NHKニュースやYouTubeなどでも、AIによる音声合成ソフトを使った動画がたくさん見られるようになりました。人間の肉声とはやや異なるものの、合成音声に特別な違和感を抱く方はだいぶ少なくなったのではないでしょうか。

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